買って、直して、収集する 多趣味なオーナーの遊びを支える秘密基地 |Calマガジン-GARAGE Examples- VOL.21

VOL.21

買って、直して、収集する
多趣味なオーナーの遊びを支える秘密基地

自宅の庭に増築された木造のガレージ。最初はクルマとバイク用のガレージとして機能し始めたはずが、いつの間にかマニアックなコレクションのディスプレイ・スペースへと進化。レアモノばかりが収集されたこのスペースは、まさにマンケーブ。大人の男だけに許された秘密基地といえる。

ガレージのオーナー:
Masaki Toyose

収集癖に修理癖が加わると、コレクションは増加の一途を辿る一方だ。修理するものを次から次へと探し出し、直しては収集してしまう。そんな趣味人の下には、同じような趣味人が集まってくる。

Aria_ Saitama / Type_Man Cave
IMG_@mar_703

一度気に入ったものは手放せない
“困った趣味人”のコレクションルーム

収集癖と修復癖。埼玉県の郊外にある閑静な住宅街に突如現れた『トイボックス・ガレージ』は、オーナーであるトヨセさんの〝困った趣味〟の集大成ともいえる場所だ。

 5台のクルマと5台のオートバイ、50枚に及ぶ貴重なスケートボードのコレクションに30台のストーブと20台のランタン……。趣味の王道ともいえるミニカーは、356や550などのポルシェを中心に600台以上。乗り物だけに留まらず、アウトドアグッズからヴィンテージのオイルライターにロレックスのコレクションまで、まさにガレージの中にはトヨセさんの収集したマニアックな品々で溢れている。しかもクルマやオートバイ、自転車にランタン、ストーブなどはどれも修復癖の対象でもあり、分解・整備・カスタムまで自身の手で徹底的に手をかけ、レストアされたものばかりが並ぶ。

 「安価に入手できるので、壊れていること。さらにコレクション性を満たすためにレアな製品であること。このふたつが揃ったら、思わず買っちゃうんです」と苦笑いするコレクションは、どれも目利きを効かせて手に入れたものばかりだ。これが仕事であれば、〝安く購入した商品を、修理して高く売る〟という正常なサイクルが成り立つが、困ったことに修復癖に加え 収集癖があることから「修理したものを手放す事ができない」とトヨセさんは笑う。このためガレージの中には貴重なアイテムが日増しに溜まっていくのだそうだ。

30台に及ぶストーブのコレクションは、もっとも古いもので1920年代。 オイルライターのコレクションはどれもヴィンテージものばかり。 中央のサンタクルーズ製スケートボードは、オーソライズド・ディーラー向けに配布された貴重な品。ガレージの奥にはランタンのコレクション。 デロッサ製のロードバイクの奥にはロッキン・ジェリービーン×サンタクルーズのコラボボードも飾られている。
ガレージの奥にはランタンのコレクション。 デロッサ製のロードバイクの奥にはロッキン・ジェリービーン×サンタクルーズのコラボボードも飾られている。
購入品のソファと組み合わされているのは木製パレットを組み合わせたローテーブル。 ドアの取っ手はオートバイ用のリア・ショックアブゲレンデもフィアット・500も、ダメージがあったものを格安で入手し、バラして組みなおすなど、修復を加えたもの。フィアットは過給器を追加し、アバルトよりもさらに過激に仕上げている。 ドラッグレーサーとして 仕上げられた、ハンドシフトのハーレーダビッドソン。エンジンまわりは ビューエル用を徹底的にチューンアップ。 キャンプ道具からスケートボード、自転車にオイルライターやロレックスなど、貴重なコレクションばかりだ。
ロレックスのコレクションも必見。ワインディングマシン にセットされているのは貴重なGMTやデイトナだ。 大半のレストアやチューニングは自身の手で行うというだけあって、加工用のマシンも用意されている。 増築されたガレージにあわせて、外構も意匠をあわせて カスタム。ビバンダムは内部に照明を仕込み、ラジオフライヤーのタイヤに座らせた自作のランプだ。 バンズのコレクションも置き場に困るほど数多い。数が多いことから、ストーブの上に陳列させている。 スナップオンのツールボックスは日本に1台しかないだろうといわれるラッピング仕様だ。 ラビットのカウル部分を切り取って製作されたライトは、本物のシールドビームに色合いの似たLEDを組み合わせたもの。普段の居場所はガレージ手前のカステルメルリーノ製のテーブルセットだ。

ちょっと不思議なのは、広範囲に及ぶその多様な趣味性だ。オートバイとクルマの組み合わせは理解できる範囲だ。世の中には“タイヤが付いているものは全部好き!”という乗り物マニアは決して少なくないからだ。ところが、ストーブやランタン、オイルライターにまで趣味が広がるというマニアは決して多くない。「ストーブもランタンも、効率よく火を燃やすという基本的な構造は内燃機と一緒なんです。だから、気持ちよく燃焼すると楽しくなる。友人たちからは“火遊び趣味”ってからかわれるんですよ」とトヨセさん。

 そんな多趣味で修復癖のある彼の下には、さらにユニークな友人たちが集ってくる。ストーブやランタン・コレクションを愉しむキャンプ道具仲間、ポルシェやVWのオーナーたちを中心にした空冷仲間、そしてラビットやベスパを中心としたスクーター仲間、さらにハーレーを愉しむ友人たちなど。多趣味の輪は、多ジャンルの友人を集め、トヨセさんのガレージへと吸い寄せられてくる。趣味仲間たちが深夜までこの場所で趣味談義を繰り広げることも今となっては珍しくないそうだ。

 まさにマニアな趣味人たちが集う“大人の秘密基地”、それが『トイボックス・ガレージ』だった。

PHOTO & TEXT_Kazutoshi Akimoto  秋元一利

株式会社CLASSIXが発行する“カリフォルニア生活”を提案するマガジン。
カリフォルニア好きのバイブルとなっている!

Website: www.calog.net
Instagram: cal_magazine

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。