
VOL04
ラスベガスからモハベ砂漠へ
歴史と発見が交差するルート66の旅
アメリカ・ネバダ/カリフォルニア

2001年製のレクサスLX470をベースに、60系ランドクルーザーのヴィンテージなデザインを付加したリノカ106。日本国内であれば通常100系ランドクルーザーをベースとするところだが、ランドクルーザーにとって長らく縁遠い国だったアメリカでは、レクサスで代用するのもひとつの手段だ。そんなラグジュアリーなリノカ106で西部アメリカを500km、1泊2日の自動車旅行を楽しんだ。


煌めく夜の街から廃墟が立ち並ぶ荒野へ
栄枯衰退を感じるショートトリップ
カリフォルニアとネバダを巡る旅は、まさに「冒険」と「発見」を堪能できるものだ。地平線まで続く道を走りながら、モハベ砂漠やジョシュア・ツリー国立公園へ。さらに歴史を感じさせる砂漠の中のオアシス、アンボイもある。そこには広大な自然の美しさと歴史的な趣が溢れている。色褪せて乾いた風景の中に現れる古の世界へ。そのスタート、またはゴールにはあえて対照的なラスベガスがおすすめだ。
アメリカの魅力を凝縮したかのようなこのドライブは、人生に一度は体験したい特別な思い出として、長く記憶に残ることだろう。
途中には、まもなく100周年を迎えようとしているアメリカの象徴的なルート66も利用できる。
1926年に制定されたアメリカ初の国道のひとつであるルート66は、1930年代から急激な盛り上がりを見せたモータリゼーションと共に、数多くの旅行者たちを見送ってきた。ダストボウル(砂嵐)から逃げるように西へ向かった貧しい農民たちを黄金の国カリフォルニアへと誘った、近代アメリカの歴史を語る上で必要不可欠な道だ。「マザー・ロード(母なる道)」という別名は、決して大袈裟なものではなく、まさにアメリカの歴史を体現できる道なのだ。
ラスベガスからスタートする場合は、グランドキャニオンを経由してアリゾナ州フラッグスタッフへ向かい、そこから高速道路のインターステートハイウェイ40(以下IH40)を使って西へ向かうといい。アリゾナ州キングマンまでは旧道のルート66がIH40と並行して残されている。
キングマンからは山越・峠越えの旧道ルート66を使うか、IH40で快適に移動するかの2択となる。大半は舗装路ではあるが、標高1000mを超えるガードレールもない峠道はあまりおすすめできない。ルート上は野生のロバが多く、コーナーの先に突然姿を表すことも少なくない。アリゾナとの州境の街ニードルズまでIH40を使う方が安全で、その先から南側を走る旧道ルート66へ進み、モハベ砂漠へ向かうのがベストだ。
荒涼とした砂漠、広大な岩山、そしてどこ までも続く青い空が、圧倒的なスケールで旅人を包み込む。もっとも、この乾いた不毛の大地には実際には約1500種類以上の生物が生息している。オコティロやカクタスなどの特徴的な植物、風に吹かれて路上を転がりながら横切っていくタンブルウィードなど、まさに映画でみたアメリカの原風景が楽しめる。
ルート上にあるアンボイは、〝町〟と呼ぶのも憚れる砂漠に埋もれた廃墟だが、アメリカの歴史を感じさせるノスタルジックな場所としてこの旅には欠かせない場所だ。かつてルート66がメインストリートだった頃、多くの旅人がこの地を訪れた証として、ロイズの モーテル(廃墟)とガソリンスタンドが今も佇んでいる。特に夕刻は太陽が地平線に沈む光景と重なり、色鮮やかな空と影が町を包み込むことで、映画のワンシーンのような感動的な瞬間を楽しむことができるだろう。
そのままルート沿いに西へ向かうと、本来はIH40に再び合流するのだが、このルートは橋の崩落で通行止めになっている。来た道を戻るか、アンボイから南下してジョシュア・ツリー国立公園へ向かう2択になる。
後者を選ぶと、奇妙な形状の木々やサボテン、岩山を堪能できる。その後はロサンゼルス、またはサンディエゴへ。ゆったりと走るならフラッグスタッフ経由で2泊または3泊。おすすめはしないが、我々のような〝似非旅人〟ならラスベガスから直接ニードルズへ向かい1泊2日のショートトリップでもこのルートを走ることができる。ラスベガスからロサンゼルスへ。またはその逆でもいい。少しばかりの寄り道が、人生の中で忘れえぬ自動車旅行になることは間違いない。


(5/23/2025)
PHOTO & TEXT_Kazutoshi Akimoto 秋元一利
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