VOL.9
ランクル “ヨンマル” とクラウンを
並べてパーキング
クラシック・トヨタが格納される
希少な昭和コレクターズ・ガレージ
BJ41Vだけでも貴重なコレクションではあるが、矢野さんのガレージにはさらにクラシックなクラウンまで格納されている。アメリカンなサインやツールボックスまで、ガレージはまるで宝箱のようだ。
ガレージのオーナー:
Norio Yano
自慢のコレクションを前に満面の笑みをたたえる矢野さん。跨っているのは1975年式のダイハツ・ハロー。こちらはなんと実走行65kmというN.O.S.。奇跡のような1台だ。
昭和56年式(1981年)のランドクルーザーに、昭和43年式(1968年)のクラウン・カスタム。他にもJA11型ジムニーや1977年式ホンダCB400Fourなど、マニア垂涎のコレクタブルな車両がずらりと並ぶのは、兵庫県姫路市に自宅を構える矢野さんのガレージだ。
特別天然記念物のモリアオガエルやオオサンショウウオなども生息するという清流の川辺に建てられたガレージには、こちらもまた自動車界の“天然記念物”といっても過言ではない、数々の名車が格納されている。
“ガレージを作りたくて、自宅を建てた”というその自慢のスペースは、大手メーカー製の農業用倉庫を転用したもの。降雪地帯用に設計された頑強なモデルで、開口部の幅は9メートルを誇る。コレクションを横に並べることができ、加えて低コストな点から、矢野さんは倉庫をガレージに転用することを考えたという。奥行きは6.5メートル。高さも最頂部で3メートルと、ガレージとしても十分なサイズだ。
格納される2台のトヨタはもちろん、矢野さんにとって愛着のある車両。自らの手でレストレーションをしたというクラウンは、所有してから今年で丸17年。走行できるようになるまで10年の歳月をかけたという思い出深い1台だ。
一方のランドクルーザーは、運良く6年前に手に入れた個体で、実走行5万キロ台という極上のコンディション。2台共にたまたまトヨタ車ではあるものの、熱烈なトヨタ・ファンではないというのもじつに面白い。
ガレージの中には車両以外にも希少なアイテムであふれている。中でも大戦中の戦艦で使用されていたというスナップオンのツールボックスはかなりのレア・アイテム。他にも1930~40年代のモービル(石油)、1950年代のファイアストン(タイヤ)など、壁面に掲げられたブリキの看板も貴重な品ばかりだ。
こうしたマニアなら誰もが羨むようなコレクションは、誰かに見せるわけでもなく普段はひっそりとガレージに収蔵され、横一線に並んで矢野さんを出迎えてくれる。母家の玄関を開ける度に、愛すべきコレクションは、矢野さんだけに微笑みかけるのである。
PHOTO & TEXT_Kazutoshi Akimoto 秋元一利
株式会社CLASSIXが発行する“カリフォルニア生活”を提案するマガジン。
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