【ロサンゼルス20日】5日に実施された選挙で、カリフォルニア州の最低賃金を来年から時給18ドルに引き上げる内容の「提案32」が僅差で否決されたと、CBSニュースが20日に伝えた。
19日夜のAP通信による開票結果によると、「提案32」の賛成投票は49.2%で、わずかに及ばず否決された。
「提案32」は、従業員26人以上の雇用主を対象に、州の最低賃金を直ちに時給17ドルに引き上げ、2025年1月1日からは約5.9%増加の18ドルまで引き上げる内容で、これは全米で最も高い最低賃金。従業員25人以下の雇用主については、最低賃金は2025年1月1日に17ドルに、2026年1月1日に18ドルに引き上げられるはずだった。
カリフォルニア州では、医療従事者とファーストフード店の従業員への最低賃金引き上げが今年になり実施された。4月からは、州内に55万3,000人いるとされるファーストフード店従業員の最低賃金が時給20ドルに引き上げられるなどする中、「提案32」否決は、州民が最低賃金の引き上げにしばしば伴う物価上昇に懸念を示している証拠といえる。
「Oxfam」によると、カリフォルニア州の労働人口の33%近くが、時給18ドル以下の低賃金職に就いている。2024年には、カリフォルニア州の労働人口の約16%にあたる300万人以上の労働者が時給17ドル以下で働いている統計となる見通し。
過去10年間で、カリフォルニア州の最低賃金は時給8ドルから16ドルへと倍増した。米国労働省によると、連邦政府の基準は現在7.25ドルで、これは2009年から適用されている。
「提案32」を支持したのは、カリフォルニア州民主党、カリフォルニア州労働組合連合会、カリフォルニア州教職員組合など。カリフォルニア州公正政治活動委員会によると、総選挙に先立ち、企業家のジョー・サンドバーグ氏とその支持者は、「提案32」を支持するために約1,040万ドル集めた。
「提案32」に反対したのは、カリフォルニア食料品店協会、商工会議所、レストラン協会など。カリフォルニア州の公式有権者情報ガイドの中で、反対派は「提案32」を「一人の億万長者によって単独で書かれた、恐ろしく欠陥のある法案」と呼んだ。各団体は、この投票法案は生活費を増加させ、雇用をなくし、ビジネスを困難にすると主張し、今年初めにファーストフード店の最低賃金が引き上げられた時と同様の主張を行った。