

筆者・志村 朋哉
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南カリフォルニアを拠点に活動する日米バイリンガルジャーナリスト。オレンジ・カウンティ・レジスターなど、米地方紙に10年間勤務し、政治・経済からスポーツまで幅広く取材。大谷翔平のメジャー移籍後は、米メディアで唯一の大谷番記者を務めた。現在はフリーとして、日本メディアへの寄稿やテレビ出演を行い、深い分析とわかりやすい解説でアメリカの実情を日本に伝える。
通信019
トランプ流「貸し借り外交」
ウクライナ支援の行方は?
トランプ大統領が再び就任してから、あまりにも多くの出来事があり、全てをここで解説するのは難しいほどです。そんな中、28日にホワイトハウスでテレビカメラの前で繰り広げられたウクライナのゼレンスキー大統領との会談(というより口喧嘩)は、近年のアメリカ外交では見たことのない光景でした。まさか、友好国のリーダーが公の場でここまで激しく非難されるとは誰も予想していなかったでしょう。あのやり取りを見て、ヒヤヒヤしたり、これからの世界情勢に不安を感じたりした人も多いのではないでしょうか?
ウクライナ戦争の見方
ロシアによるウクライナ侵攻が始まった2022年、アメリカでは「ウクライナを助けるべき」という意見が圧倒的でした。「爆撃を受けた街の映像」や「ゼレンスキーの力強い演説」がニュースで繰り返し報道され、ウクライナ支援は当然と考える人が多かったのです。
しかし、戦争が長引くにつれ、「このままウクライナを支援し続けるのは本当にアメリカのためになるのか?」という疑問が浮上してきました。2月上旬に行われたピュー研究所による世論調査では、回答者の30%が「支援しすぎている」と答えています。特に共和党支持者では、2022年の9%から47%に増えています。
この背景には、いくつかの理由があります。
アメリカやEU諸国の助けもあって、ウクライナは大国ロシアを相手に、想定以上に善戦を続けてきました。しかし、一向に終わる気配のない戦争に、米国内では「このままずっと支援し続けるのか?」という疑問の声が上がるようになりました。アメリカはこれまでに1190億ドル以上をウクライナに支援してきたと推定されています。「このお金をアメリカ人のために使ったほうがいいのでは?」という声が高まっています。
会談で、トランプ氏とバンス副大統領が、「感謝の気持ちを示していない」とゼレンスキー氏を批判しました。まるでずっとおごり続けていた友人に対して、「そろそろ自分で払え」と言うかのようでした。
「取引的」な外交スタイル
トランプ氏の外交スタイルは、「transactional(取引的)」だと呼ばれています。「長期的な友情や信頼」ではなく、「ギブ&テイク」を重視するからです。つまり、「こちらが助けるなら、その見返りをもらわないと」というスタンスです。
この考え方は、今回のゼレンスキー氏への態度にも表れています。「アメリカがこんなに支援しているのだから、もっと感謝して、アメリカの言う通りに和平交渉を進めるべきだ」というのがトランプ氏の主張です。
この取引的な外交は、他の同盟国に対しても見られます。NATO加盟国や韓国、日本に対して、「国を守るための防衛費を、もっと自分たちで負担しろ」と要求しています。隣国のカナダやメキシコに対しても、アメリカに流入する不法移民や違法薬物の取り締まりを強化しないと関税を課すと脅しています。
ウクライナについても、同国の天然資源の権益をアメリカが得るための取引を求めています。この協定が結ばれれば、アメリカはこれまでに費やした援助金を取り戻すことができて、ウクライナにとってもアメリカがウクライナを守る動機が生まれるという理屈です。しかし、ゼレンスキー氏はウクライナの安全が守られる保障が十分ではないと反発。署名には至っていません。
月曜日には、アメリカがウクライナへの全ての軍事支援を「停止」すると報じられました。先行きは不透明ですが、トランプ氏とゼレンスキー氏の対立を最も喜んでいるのがロシアのプーチン大統領なのは間違いありません。
(3/5/2025)
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