

筆者・志村 朋哉
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南カリフォルニアを拠点に活動する日米バイリンガルジャーナリスト。オレンジ・カウンティ・レジスターなど、米地方紙に10年間勤務し、政治・経済からスポーツまで幅広く取材。大谷翔平のメジャー移籍後は、米メディアで唯一の大谷番記者を務めた。現在はフリーとして、日本メディアへの寄稿やテレビ出演を行い、深い分析とわかりやすい解説でアメリカの実情を日本に伝える。
通信036
独立記念日に考えたい
アメリカの「原点」
独立記念日に考えたい
アメリカの「原点」
アメリカの夏の風物詩、7月4日の独立記念日。各地で花火が打ち上がり、パレードやバーベキューが行われ、赤・白・青の星条旗が街を彩ります。ですが、今年の独立記念日は、例年以上に重い意味を持っているように感じられます。
というのも、この国はいま、大きな岐路に立たされているからです。
トランプ大統領の改革
1月に大統領に再就任したドナルド・トランプ氏は、前回以上のスピードで強硬に政策を進めています。
就任初日にバイデン政権時代のルールをまとめて撤回し、新しい大統領令を次々と発令。多様な人を積極的に採用するDEIプログラムを廃止。不法移民の大規模摘発と国外退去を実施。輸入品に高い関税をかけて、貿易戦争を開始。連邦職員の大量解雇を進め官僚機構のスリム化など。
この強硬姿勢に対し、「大統領の権限が強すぎるのでは?」と不安の声も上がっています。一方で、「国民の望んだ変化を実行してくれている」と、力強いリーダーシップに満足する人々も少なくありません。意見が大きく分かれる中で、「この国の民主主義はどうあるべきか」が問われているのです。
アメリカの原点とは
そもそもアメリカが独立を決意した背景には、イギリス国王による専制政治への反発がありました。自分たちの生活が遠く離れた王様の命令で勝手に決められてしまうことへの不満が募り、「自分たちで選んだ代表が政治を行う民主主義の国をつくろう」と立ち上がったのです。
つまり、アメリカ独立の原点は「力による支配への抵抗」だったのです。
だからこそ、いまのアメリカが、大統領ひとりの判断で物事を次々と決めていく姿を見て、「それはアメリカの原点から外れているのでは?」と感じる人がいるのも当然かもしれません。
「移民の国」はどこへ向かうのか?
トランプ政権が特に力を入れているのが移民政策です。ここロサンゼルスでも、移民当局による大規模な強制摘発が行われ、多くのコミュニティーに不安が広がりました。中には、合法的に滞在している人まで対象になったケースもあるといわれています。
アメリカは移民の国として成り立ってきました。メキシコ系や日系人など、さまざまなルーツを持つ人々が暮らすこの国では、たとえば野球の日米戦で日本を応援する日系アメリカ人や、国内のサッカースタジアムでメキシコ国旗を掲げる人の姿が当たり前に見られます。
「出身国のルーツを大切にしながら、アメリカという国の一員として生きる」ことが許される文化は、アメリカの特徴です。しかし、現在のように「誰を受け入れるか」「誰を排除するか」を大統領が主導する姿を見ると、「移民の国」の根幹が揺らいでると感じるのも無理はありません。
日本人として
第二次世界大戦中、アメリカでは約12万人の日系人が強制収容所に送られました。アメリカ国籍を持っていた人までが、人種や出自を理由に自由を奪われたのです。私たち日本人は、こうした過去があるからこそ、今起きていることに対して「関係ない」とは言い切れない立場にあるのではないでしょうか。
もちろん、独立記念日は花火を楽しみ、家族や友人と過ごす大切な時間でもあります。でも少しだけ立ち止まって問いかけてみてください。
「アメリカは、どこへ向かっているのか?」「民主主義は、ちゃんと機能しているのか?」「この国は、いまも“移民の国”といえるのか?」
この国の未来は、政治家だけではなく、私たち一人ひとりの意識によって形づくられていきます。だからこそアメリカの原点を見つめ直す、そんな特別な一日にしたいものです。
(7/4/2025)
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