

筆者・志村 朋哉
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南カリフォルニアを拠点に活動する日米バイリンガルジャーナリスト。オレンジ・カウンティ・レジスターなど、米地方紙に10年間勤務し、政治・経済からスポーツまで幅広く取材。大谷翔平のメジャー移籍後は、米メディアで唯一の大谷番記者を務めた。現在はフリーとして、日本メディアへの寄稿やテレビ出演を行い、深い分析とわかりやすい解説でアメリカの実情を日本に伝える。
通信035
ついに復活、投手・大谷翔平
専門家の評価は?
大谷翔平選手が、ついに投手としてメジャーのマウンドに戻ってきました。約2年ぶり、しかもドジャースのユニフォームを着ての初めての登板に、ドジャースタジアムは大きな歓声に包まれました。
最初の登板では、1回を投げて被安打2、失点1という内容でしたが、注目すべきはその投球内容でした。最速100.2マイル(約161キロ)を記録した速球をはじめ、落差のあるシンカーや鋭いスイーパー(大きく曲がるスライダー)も披露しました。
MLB公式サイトのデータ分析担当デービッド・アドラー記者は、「彼の球は相変わらず素晴らしかった」と高く評価。2年間の空白期間を経たというのに、それを微塵も感じさせない球威とキレのある「エグい」球を投げていたと記事で綴っていました。制球が荒いのは仕方のないことで、久しぶりの投球に慣れて体の動きが良くなってくれば、改善されてくるはずです。
実際、2度目の登板では、1イニング無失点、被安打ゼロと内容が良くなり、復帰後初となる三振も奪いました。登板後には「徐々にイニングも増やしていければ、元の状態以上に戻れるんじゃないかなという、そういう自信は出てきている」と語り、回復に手応えを感じているようです。
ドジャースは、当分の間、大谷選手を「オープナー」として起用するつもりです。これは試合の最初の1、2イニングだけを先発投手が担当し、その後はリリーフ陣が継投する戦術です。こうすることで、身体への負担を最小限に抑えながら投球の感覚を取り戻し、同時に試合の流れにも貢献できます。さらに、大谷選手は投手を降板した後も、指名打者として打席に立ち続けることができます。
MVPも射程圏内
一方、打者としての大谷選手は、今シーズンも「メジャー最高クラス」のパフォーマンスを見せています。6月22日時点では、メジャー3位、ナショナル・リーグ1位となる26本のホームランを記録。打撃での活躍を測る分かりやすい指標OPSでも1.014と、ヤンキースのアーロン・ジャッジ、マリナーズのカル・ローリーに次いで3位につけています。自身の過去のMVPシーズンと比べても、今のところ遜色のない成績です。
このまま投手としての出場機会が増えていけば、3年連続・通算4度目のMVP受賞という快挙も見えてきます。ちなみに、これらのMVP記録を達成しているのは、史上最高打者の呼び声も高いバリー・ボンズ氏ただ一人です。
ただし、二刀流にはリスクも伴います。ドジャースとしては、大谷選手に打線の主軸を担ってもらう必要があります。もし投球が打撃に悪影響を及ぼすようなことがあれば、今後のスタイルを考え直す必要が出てきます。大谷選手の二刀流が特別なのは、投打のどちらも超一流だからです。どちらも中途半端になっては、二刀流をやる意味がなくなってしまいます。もし再び投手としてけがをしたり、投球の調子が上がっていかなかったりというようなことになれば、二刀流を諦めるという選択肢もちらつくでしょう。そのリスクを承知で、大谷選手は2度の肘の手術を経た後も二刀流にこだわり続けているのです。
「誰もやっていないことをやりたい」。その言葉の通り、大谷選手は誰も踏み入れたことのない高みを目指して二刀流を続けています。ドジャースという全米屈指の人気球団を再びワールドシリーズに導き、今度はそこで二刀流で圧倒する。そうなれば、野球に興味のない人が大谷選手を一目見ようと球場に足を運び、若い子供が大谷選手に憧れて野球を始める。そんなかつてのマイケル・ジョーダンやタイガー・ウッズのような、スポーツの枠を超えた社会現象になるかもしれません。
(6/27/2025)
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