

筆者・志村 朋哉
南カリフォルニアを拠点に活動する日米バイリンガルジャーナリスト。オレンジ・カウンティ・レジスターなど、米地方紙に10年間勤務し、政治・経済からスポーツまで幅広く取材。大谷翔平のメジャー移籍後は、米メディアで唯一の大谷番記者を務めた。現在はフリーとして、日本メディアへの寄稿やテレビ出演を行い、深い分析とわかりやすい解説でアメリカの実情を日本に伝える。
通信030
長い夏休み、何をさせる?──
親子で考えるサマーキャンプ活用術
アメリカの夏休みは6月から8月末までの約10週間。「子どもに何をさせたらいいのか」と悩むご家庭も多いでしょう。日本への帰省も良いですが、せっかくアメリカにいるなら、「現地ならではの体験」も検討してみませんか?
これはアメリカの子どもたちにとって”夏の通過儀礼”のようなもの。19世紀に都市部の子どもに自然体験を提供する目的で始まり、今では教育、芸術、スポーツ、多様性やリーダーシップを育む場として定着しています。
私自身、小学生のときに父の駐在でアメリカに滞在していた際、自然キャンプに参加。森の中での乗馬やアーチェリーは、日本ではなかなか味わえない経験で、今でもあの緑の匂いや木漏れ日の風景が記憶に残っています。
そして今では8歳の息子がそのバトンを受け継いでいます。昨年は近所のダンススクール主催のキャンプに参加。女の子ばかり、知り合いゼロという環境でしたが、ダンスや歌、演技に挑戦し、最終日には「楽しかった!」と誇らしげな表情に。今年は、普段スポーツで忙しい息子に新たな刺激を与えようと、ロックバンドとミュージカルのキャンプに申し込みました。
サマーキャンプの種類
サマーキャンプの内容やスタイルは「活動内容」と「参加形態」で大きく分けられます。
Traditional camps(総合型キャンプ): 自然の中で水遊び、ハイキング、クラフト、キャンプファイヤーなどを楽しむ”なんでも体験型”。様々なことに挑戦したい子や初参加の子にぴったりです。
Specialty Camps(専門型キャンプ): スポーツ、音楽、演劇、科学、ITなど特定分野に特化。興味や才能を伸ばしたい子におすすめ。近所のアートスクールや音楽教室でも夏季限定プログラムを提供していることが多く、気軽に通える点も魅力です。
Day camps(日帰りキャンプ): 朝から昼、夕方までの日帰りタイプ。毎日自宅に帰れるので、低年齢の子や英語環境に慣れていない子も安心。働く親にとっても夏休みの強い味方になります。
Overnight camps(宿泊キャンプ): 1週間ほど泊まり込みで参加。友だちと寝食をともにすることでぐっと距離が縮まり、自立心も育まれます。ホームシックの心配もありますが、それを乗り越える経験自体が大きな成長につながるでしょう。
どうやって選べばいいの?
アメリカには数えきれないほどのキャンプがあり、「うちの子に合うのはどれ?」と迷うかもしれません。そこでおすすめなのが、American Camp Associationの公式サイト(acacamps.org)です。
地域や年齢、興味などの条件で検索すると、信頼性の高いキャンプを絞り込むことができます。ACA認定のキャンプは安全基準や運営体制が整っていて、初めてのキャンプ選びに最適です。
地域の子育て情報誌も毎年サマーキャンプを特集しています(ロサンゼルスならlaparent.com、オレンジ郡ならparentingoc.comなど)。学校や習い事で知り合った保護者に体験談を聞くのも参考になるでしょう。
日本人の子どもにとって、遊びや共同作業を通して自然と言葉の壁を越え、新しい友達ができる経験は何物にも代えがたいもの。「できた!」という自信が、その後の学校生活や人間関係にも良い影響を与えます。この夏、お子さんと「どんなことにチャレンジしたい?」と話し合ってみてはいかがでしょうか。
(5/22/2025)