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Vol.40
今年もダブルIPAでアメリカ独立記念日を祝おう!
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どうも、お久しブリューイングです!7月4日はアメリカの独立記念日でした。皆さん、今年の4th of Julyも友達やご家族で楽しいお酒を飲みましたか?
いきなり大変申し訳ございません!先週のコラムの続きで、今回はドイツ生まれのKolsch(コルシュ)というスタイルについてお話しする予定でしたが急遽内容を変更させて頂きます。
というのも、アメリカ独立記念日に紹介しなくてはいけないビールがあったのと、先日アメリカのクラフトビール業界を驚愕させた衝撃ニュースが飛び出してきたので、そちらを先に書かせていただきます。コルシュに関しては後日書かせて頂きますのでご了承ください。
皆さん、アメリカ独立記念日に必ず毎年発売されるアレをご存知でしょうか?アレです、アレ。あのルービーですよ。それがこちら、はいドンっ!
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※注 こちら2020年の写真ですが、皆さんオトナなご対応どうぞよろしくお願いします。
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Stone Brewing Co.(ストーン・ブリューイング・カンパニー)のEnjoy By 07.04シリーズ。
Stone Brewing Co.は、クラフトビールの聖地と呼ばれるカリフォルニア州サンディエゴ生まれのブリュワリーで、クラフトビールの中ではかなり規模の大きい世界的に超有名な醸造所です。
Stone Brewingと言えばその名を世界に知らしめたのが、こちらの代表作『STONE IPA(ストーン・アイ・ピー・エー)』。カリフォルニアに住んでいれば街の至るスーパーで見かける有名過ぎるビールなので、あまりクラフトビールを飲まない方も見かけた事があるのではないでしょうか。
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太平洋を渡り、日本で一缶約1000円で売られているこのIPAが、『クラフトビールの本場アメリカでいくらで買えるのか?』についてまとめた動画をYouTubeで公開していますのでぜひお時間ある時に酔うチェックしてくださいね。
YouTube |【衝撃価格】激安!本場アメリカのクラフトビールのお値段
さて話戻してこちらの毎年恒例Enjoy By 07.04シリーズ。なぜかいつも決まってABV(アルコール度数)9.4%(2022年はまさかの9%)のダブルIPAですが。
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以前のコラムでも書きましたが、ダブルIPAは通常のIPAよりも度数の高いIPAです。通常のIPAが6〜8%なのに対し、ダブルIPAは9〜11%ほどあります。更に度数の高いトリプルIPAは、12〜15%ほどあります。
ワインをビールジョッキに入れて、ビールのペースで飲んでいると考えれば、どれだけトリプルIPAがデンジャラスな飲み物かお分かり頂けますね。僕は以前、土曜の昼からトリプルIPAを行ってしまい、その後すぐに寝落ち。大変貴重な休日の一日を台無しにした事があります笑
こちらEnjoy By 07.04シリーズを実際に飲んだレビュー動画もYouTubeチャンネルで公開していますので、合わせて酔うチェックしてくださいね。
YouTube. |【限定ダブルIPA】アメリカの独立記念日に限定クラフトビールで乾杯!
さて次に、冒頭でお話した全米を驚愕させた衝撃ニュースの話をしましょう。現在アメリカ全土にクラフトビールを醸造するブリュワリーは約8,800軒あります。
2020年度そして2021年度の売り上げレポートでは、Stone Brewingは全米第9位でした。クラフトビールですから、大手以外のビールカンパニーです。つまりStone Brewingはクラフトビール業界では超規模の大きなブリュワリーな訳です。
そして事件は先月起きてしまいました…。こちらがリアルなアメリカでの衝撃ニュースです。
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なんとStone Brewingは日本のサッポロビールにビジネスを売ったのです!しかもその額、日本円にして約220億円と言われています。あまりの突然の出来事に、アメリカ中のクラフトビールファンはパニックに陥りました。
実際に僕がこのニュースを知ったのは、アメリカ人の友人がインスタグラムのDMでこのニュースのリンクを送ってきたのがきっかけでした。『Hey Tomo、これ見ろよ!ありえないよ!』
このニュースで話題が持ちきりの中、僕がいつものブリュワリーに飲みに行くと、スタッフもこう言ってきました。『Stoneの聞いた?220億円だって!ヤバいよね!』
こんな感じで友達からも、ブリュワリーでも、職場でも、しばらくクラフトビール好きの間でホットトピックでした。でも果たして、何がありえないんでしょうか?何がヤバいんでしょうか?
とってもシンプルに簡潔に言うと、クラフトビールは大手以外のビールです。英語だとその定義は、INDEPENDENT(独立)。つまり経営面で大手ビールメーカーから独立している事が絶対条件なんです。
つまり、クラフトビールのパイオニアとして26年間、クラフトビール業界を牽引してきたStone Brewingは、サッポロビールに売る事で、実質もうクラフトビールではなくなってしまったという事です。
大手ビールメーカーに依存しないスモールビジネスであるブリュワリーは、コロナにより多くの醸造所が閉店しました。全米8,800の中でトップ9位だったカリスマ的なブリュワリーが、そのビジネスをなぜ外国へ売却してしまったのかの正確な答えは分かりません。
ここからはあくまで僕個人の考えなので、あくびをしながら読んでください。2013年にStone Brewingのオーナーは、絶対にこの先ビジネスを売る事はない!と断言していました。
しかしこのようなリーダー的な存在でさえ経営的に苦しく、これ以上やっていけない状況が理由だったとすると、本当に小規模でローカルに支えられながら経営しているブリュワリーは、この先閉店していく所が益々増え続けるのではないか、と大きな不安を感じています。
『大手に買収されたから何なの?』『サッポロのStoneになって何がいけないの?』といった声も日本のTwitter界隈で多く聞きました。お酒はあくまで個人で楽しむものなので、どう解釈するかは個人の自由ですし、どれも間違いではありません。
しかし僕がこのニュースでなぜこのように悲観的になるのかは、以前のコラムVol.12『クラフトビールの正しい定義とは?』とVol.13『なぜクラフトビールをきちんと定義する必要があるのか?』を読んで頂ければしっかりと理解できるはずです。
僕は大手ビールも大好きですし、よく飲みます。僕は大手ビールを攻撃したいわけではありません。差別ではなく、区別をしているだけです。ちょっと湿っぽい感じになってしまいましたが、今日はこの辺でお開き。
来週のビールコラムもお楽しみに。それでは皆さん、酔い一日を。乾杯っ!
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(7/5/2022)
とも蔵 TOMOZO クラフトビール探検家
LAを拠点に著書やSNSなどでクラフトビールについて日々配信する、とも蔵さん。本業はグラフィックデザイナーで写真家。「クラフトビールはアート。ブリュワーさん一人ひとりがアーティストであり、彼らの世界観が描き出されているんです」
とも蔵さんのコンテンツ: https://linktr.ee/tomozobeer/
とも蔵さんYouTube: https://www.youtube.com/channel
▶︎らららインタビュー記事 「ロサンゼルスで暮らす人々:とも蔵」を読む
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