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アメリカ101 第208回
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このところ北米大陸の東洋岸に面したサウスカロライナ州最大の都市チャールストンでの市長選挙に絡んだ、大統領選挙に関連した動きが注目されています。それというのも、来年11月5日が投票日の次回の大統領選挙だけでなく、2028年という「次の次」の大統領選挙といった長期的な政治日程を意識して、ホワイトハウスを目指す民主党の有力政治家が、なにかと、同州での存在感を強める動きを活発化させているからです。
アメリカの大統領選挙は、各州での党員集会や予備選挙といったプロセスを通じて候補者を絞り込むというのが初期段階での重要なイベントです。
共和党が党員集会と予備選挙を組み合わせて候補者選びを進めるのに対して、民主党側は予備選挙による候補者選びが支配的で、今回の選挙では、その最初のイベントとして、サウスカロライナ州で来年2月3日に予備選挙が実施されます。
民主党側では、現職のジョー・バイデン大統領が再選を目指す意向を示していますが、80歳という大台を昨年11月にオーバーし、一見するだけで、“後期高齢者”としての年相応の身体の動きに、ぎこちなさが顕著となってきています。
党内からは、ミネソタ州選出のディーン・フィリップ下院議員や、女性著作家としての知名度の高いマリアンヌ・ウィアムソンが対立候補として名乗りをあげていますが、いずれも“泡沫候補”のレベルにとどまり、バイデンを脅かすほどではありません。
だがバイデンに、大統領という激務を求められるポストの遂行に障害となるような身体面での限度が露呈する場面が表面化すれば、一挙に局面が変化するのは間違いありません。
一方、ホワイトハウス奪回を狙う共和党側では、前大統領ドナルド・トランプが引き続き共和党支持者の間では絶大な支持を維持しています。有力な対立候補とみられていた前副大統領マイク・ペンスが10月に選挙戦からの脱落を発表、残る有力候補である現職のフロリダ州知事ロン・デサンティスも、「トランプ人気」崩しには苦慮しています。トランプも、現在77歳という“後期高齢者”であり、決して若いわけではありません。しかし被告となっている一連の裁判で“泥まみれ”に陥らない限り、共和党大統領候補としての「独走」が続く見通しです。
そしてチャールストン市長選挙ですが、大統領候補選びという“生き残り”レースでは、緒戦での戦いぶりが、その後の展開に大きな影響を及ぼすという流れの中で、チャールストンを抱えるサウスカロライナ州が、来年の民主党の一連の予備選挙の皮切りであるという政治日程を意識した民主党の各有力候補の動きが、相次いで浮き彫りになっているのです。
“チャールストン市長選詣で”が注目されるのは、いずれはホワイトハウス入りを目指すであろうカリフォルニア州知事ギャビン・ニューサムやイリノイ州知事J・B・プリッカーといった有力政治家が、相次いで市長候補クレイ・ミドルトンに政治献金をしているとのこと。ウェブメディアであるアクシオス（Axios）によると、それぞれの献金金額は限度の1000ドルですが、来年、そして2028年の予備選挙を意識した“先行投資”と言えそうです。
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著者/ 佐藤成文(さとう しげふみ)
通称:セイブン
1940年東京出身。早稲田大学政治経済部政治学科卒。時事通信社入社、海外勤務と外信部勤務を繰り返す。サイゴン(現ホーチミン市)、カイロ、ベイルート、ワシントン、ニューヨーク、ロサンゼルス各支局長を歴任し、2000年定年退社。現在フリーランスのジャーナリストとしてロサンゼルス在住。
(11/7/2023)