アメリカ版お国自慢 カリフォルニア州の経済力は世界第5位

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アメリカ101 第230回

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 「お国自慢」という日本語の表現がありますが、さしずめ「アメリカ版お国自慢」というのでしょうか、カリフォルニア州のギャビン・ニューサム知事は「カリフォルニアは世界各国との比較で、地方自治体でありながら、国家としてみなすならば、その経済力は世界第5位だ」と鼻高々です。

 国際通貨金(IMF)は毎年4月半ばに「世界経済見通し」を発表するのですが、今年度版では、カリフォルニア州は2017年以来7年連続で世界第5位の座を確保したことが明らかになりました。

 これを受けてカリフォルニア州政府は大々的に報道機関向けのプレスリリースを発表、州内のさまざまな産業部門での企業業績の好調が続き、再び5位となったと強調。ニューサム知事は「世界の限られた数の経済大国のグループ・メンバーのポジションを維持した」とし、「われわれは今後とも、技術革新、高い教育水準、有能な労働力、多分野にわたる産業、そして比類ない天然資源を背景に、未来に向けて歩みを続ける」と自信満々です。

 このIMF年次報告では、名目GDP(国内総生産、推定数値)によるランキングでは、引き続きアメリカが断然トップで、以下中国、ドイツ、日本と続きます。今回日本は、ドイツに抜かれて4位に転落したのが目立ちます。

 「カリフォルニア州が世界で第5位」なのですが、巨大経済大国のアメリカだけに、州単位で世界の国々に比類するのは同州だけではありません。2017年から昨年(2023年)までの7年間のトップ20ランキングをみると、カリフォルニアに加えて、テキサス、ニューヨーク、フロリダの4州がリスト入りしていますが、カリフォルニアは一貫して5位をキープ、安定した“経済大国”のおもむきです。

 数字としてカリフォルニアをみると、名目GDPがほぼ3兆9000億ドルで、経済成長率は前年比6・1%増なのですが、一人当たりでは世界第2位にランクインです。成長率の動向では、成長が著しいのはテキサス州で、ランキングでは2017年に11位だったのが2023年には9位までランクアップしています。税制などの経済環境が企業にとって好ましいのが企業誘致にプラスとなっていると思われます。また産業基盤の停滞で成長率の鈍化が懸念されてきたニューヨーク州は、2017年の13位から2020年には11位まで上昇したものの、その後は12、13位を行き来する状況。

 旧経済大国と新興国のランキングせめぎあいで注目されるのはインドとイギリスで、国家としては近年5位争いを続けてきたのですが、2021年にインドの優位が定着しています。

 ちなみに国別の名目GDPランキングは、①アメリカ②中国③ドイツ④日本⑤インド⑥イギリス⑦フランス⑧イタリア⑨ブラジル⑩カナダです。
 
 

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著者/ 佐藤成文(さとう しげふみ)

通称:セイブン

1940年東京出身。早稲田大学政治経済部政治学科卒。時事通信社入社、海外勤務と外信部勤務を繰り返す。サイゴン(現ホーチミン市)、カイロ、ベイルート、ワシントン、ニューヨーク、ロサンゼルス各支局長を歴任し、2000年定年退社。現在フリーランスのジャーナリストとしてロサンゼルス在住。


(5/8/2024)

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