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飲酒運転で警察車両とカーチェイスをした後、アメリカ・ロサンゼルスで刑務所暮らしをすることになった日本人。
サム(仮)による一年間の服役実録記。
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さて以前も書いたがここはツインタワーと言う名の拘置所。ロサンゼルスはダウンタウンにある、裁判所の処遇が決まるまでの間、留置をするための施設である。その仮の留置部屋をやっと出れることになった俺たちは、ここからやっと正式な(?)拘置所暮らしが始まるのである。
まずセキュリティーチェックルームで自分の私服や靴、財布等全て没収される。これは出所時あるいは解放された時に返して貰える。そして囚人服に着替えさせられる、この時素っ裸になってケツの穴の中に何か隠してないかまでチェックされるのだ。その後ドクターチェックや今までの犯罪歴、同性愛者であるか否か、そう行った調べを終えてようやく、汚くて寝心地の悪いベッドのある部屋に入ることができた。それまでがあまりにひどいので半ばホッとするぐらいである笑。
とりあえず次の裁判の日程が決まるまではココが借りの住処となるのであるが、いろいろ経験した中でもここが1番猥雑で汚かったなぁ。
ここには2週間ほどいただろうか。食事は相変わらず硬くてパサパサのパンやブリトーなど。とりあえず飢え死にしない程度の物が配られる、シャワーは確か週二回くらい浴びさせてもらえた記憶がある。
いずれにしてもここにいる受刑者は皆、早く裁判が終わり釈放され自由になる事を望むのは勿論。その望みが無い人達(重犯罪者)は早く刑を確定させて刑務所へと行きたがっていた。何故かと言えば生活環境は悪く食事が不味すぎるからなのだ。刑務所の方がよっぽど良い物が食えるし、生活環境も良いのだ。
2週間ほどのこのツインタワーでの生活は正直あまり覚えていないのだが、ここで最初に、「成る程なぁ」と思ったのは囚人服の色の違いである。自分のように一般的な者たちは青い服を着せられるが、オレンジの服や赤い服などといろんなパターンがあるのだ。例えば黄色の服は刑は確定しているが、ポリスに代わって他の囚人の面倒を見るためにそこで働いてる人であるとか。(要するに食事を配ったり洗濯や掃除をしたりする作業員の人たちである)赤い服を着ている人は非常に凶暴凶悪な殺人鬼であったりとか…。そういった人間は車椅子のようなものに乗せられ猿ぐつわを咬まされ手足を縛られている場合もあったりする。つまり囚人服の色分けでその人間の処遇が一目でわかるようにしてあるのだ。
そしてここでしばらく過ごしているうちに、裁判は終了はしていないが自分の行き先もようやく決まったのだ。
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(3/31/2022)
プロフィール
鹿児島県出身。国際結婚を果たしてラスベガスで生活したのち、ロサンゼルスに移住。
同コラムでは、犯してしまった犯罪とそれを償うための服役生活についてを明かすが、いたって普通の一般市民。二児の父であり、飲食業界に勤める。
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