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第五十九回
男正月や女正月
お正月のしきたり
「正月」とは、もとは旧暦一月のこと。新暦においても1月1日から31日のひと月を指す言葉でもあります。ということで、もう少しお正月のしきたりについてお話しさせて下さいませ。
1月11日は歳神様にお供えしていた鏡餅を下ろし、いただく「鏡開き」の日です。鏡餅は包丁で切らず、木槌等で割ります。お正月は一年の福を招く為にめでたく過ごすことが重要である期間。言葉もめでたく、切る、割る、砕くではなく、「お餅を開く」と言います。歳神様の魂を宿したお餅ですから一欠片も残さずに、大切にいただきます。
1月15日は「小正月」です。元日の「男正月」に対して、年末からずっと家事や接待で忙しくしていた女性がようやく正月気分を味わうことができる日として「女正月」とも呼ばれています。
古くから小正月の朝は小豆を入れた粥「小豆粥」を炊き、一年の無病息災を願って食べる風習があり、関西地方を中心に各地で今も続いています。小豆はもとは薬。今も食養生に用いられる他、小豆の赤が邪気を祓い、身を守ってくれると考えられています。
小正月には紅白の餅や団子を小さく丸め、柳等の木の枝に付けて作った「餅花」を飾ります。そのことから、小正月は「花正月」とも呼ばれます。正確な始まりは不明ですが、江戸時代に盛んに飾られるようになりました。その由来は「養蚕農家が繭玉を木の枝に付け正月飾りにした」や「鏡餅を八百万の神に供える代わりに小さな餅を枝にたくさん付けた」等諸説があります。餅花には、新しい年の豊作を祈願する意味が込められています。
1月15日は、元旦にお迎えした歳神様を炎とともにお送りし、新しい年の無病息災と五穀豊穣を祈願する火祭り「左義長」(地域により「どんと焼き」「とんど焼き」「鬼火焼き」等とも言う)が行われ、「この火で焼いた団子を食べると病気にならない」や、「書初めの紙を燃やした時に炎が高く上がると字が上手くなる」等、様々なご利益があるとされています。

(1/28/2026)

筆者・森 日和
禮のこと教室 主宰 礼法講師
京都女子大学短期大学部卒業後、旅行会社他にてCEO秘書を務めながら、小笠原流礼法宗家本部関西支部に入門。小笠原総領家三十二世直門 源慎斎山本菱知氏に師事し、師範を取得する。2009年より秘書経験をいかし、マナー講師として活動を開始する。
2022年より、廃棄処分から着物を救う為、着物をアップサイクルし、サーキュラーエコノミー事業(資源活用)・外国への和文化発信にも取り組む。
https://www.iyanokoto.com
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