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第五十八回
お年玉と言えば、お金
昔、昔はお餅でした。
日本のお正月。子どもたちの一番のお楽しみは、なんといってもお年玉ではないでしょうか。新年のご挨拶とともに恭しくお年玉を受け取りつつ、口角が緩んでいる子どもたちの顔がかわいくて、こちらまで幸せな気持ちになります。
お年玉と言えば今はお金ですが、もともとはお餅でした。子どもたちから不満の声が聞えてきそうですが、お餅と言いましても普通のお餅ではありません。神様の「魂」を宿したお餅。魂などと言うと驚かれるかもしれませんが、生きる力、気力を意味するものだと思ってください。昔は、年の初めに歳神様の魂を分けていただく、つまり毎年お正月に一年分の力を授かると考えられていたのです。
そもそも一連のお正月行事というのは、新年に歳神様を家に迎え、もてなし、見送る為の行事です。歳神様は歳徳神ともいい、新しい年の幸福や豊作とともに、魂を分けてくださると考えられてきました。
では、どのように歳神様から魂を分けていただくのでしょうか。
それは、鏡餅が歳神様の依り代であるように、家にいらした歳神様は鏡餅同様に餅玉に依りつきます。すると、餅玉には歳神様の「御魂」が宿ります。この歳神様の御魂が宿った餅玉が「歳魂」です。その歳魂を、家長が家族に「御歳魂」「御年玉」として分け与えました。これがお年玉の由来です。
また、歳神様からの賜り物であることから「としだま」との説もあります。
お年玉は家長から家族へ、師匠から弟子へ、主人から使用人へというように、目上の人から目下の人に渡すものの為、目上の人にお年玉をお渡しすることはできません。目上の人へは「御年賀」や「御年始」としてお渡しするようにします。目上の人のお子様やお孫様などご家族は、やはり目上となりますので、厳密には「お年玉」とすることはできません。この頃は難しくは言われませんが、もしお渡しになる場合は、念の為「お年玉」とはせずに、「お年賀」「お年始」とされておく方がよいでしょう。

(1/22/2026)

筆者・森 日和
禮のこと教室 主宰 礼法講師
京都女子大学短期大学部卒業後、旅行会社他にてCEO秘書を務めながら、小笠原流礼法宗家本部関西支部に入門。小笠原総領家三十二世直門 源慎斎山本菱知氏に師事し、師範を取得する。2009年より秘書経験をいかし、マナー講師として活動を開始する。
2022年より、廃棄処分から着物を救う為、着物をアップサイクルし、サーキュラーエコノミー事業(資源活用)・外国への和文化発信にも取り組む。
https://www.iyanokoto.com
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