松屋のウナ牛丼は凄すぎる!

 ウナ牛丼の事を考えてみた。それにしてもこの組み合わせ、誰が考えたのだろうか。食べ物に関して保守的な私にとっては想像を絶する組み合わせだ。勿論、牛も鰻も大好きなのだが、同じ食卓に並ぶ事は滅多にない。というか、鰻屋さんに行っても焼肉屋に行っても並んで居る姿を今まで見た事が無かった。当たり前だが、両雄とも独立した存在感を築き上げている。歴史もあり誇り高く生きてきたのです!それがまさかの合体、正直言って最初にお店の前に貼ったポスターを見た時は悲しい気持ちになった。一つの丼ぶりに押し込まれた誇り高い焼肉と鰻が窮屈そうにいるではないか!お互い十分過ぎる実績があるのに、なんでこんな扱いを受けなければいけないのか!ポスターを見たときそう感じずにはいられなかった。第一この食べ合わせが合うわけが無いじゃないか!先ずどちらから食べればいいのだ。牛から食べたら、当然焼肉のタレの味が残る。その状態で鰻を食べたら、鰻のあの香ばしい風味はどうなるんだ。では逆に、鰻から先に食べた口の中にスタミナたっぷりの焼肉が流し込まれたら、、、 混乱は増すばかりだ。更に丼ぶりの下に鎮座するホカホカご飯はどうなるんだ。おそらく混乱状態だろう。鰻のタレと焼き肉のタレが食事の後半混ざり合いバトルを繰り広げているに違いない。怖すぎる!

 しかしなのだ。お店の中ではお客さんが私の不安などどこ吹く風で美味しそうに食べているではないか!私の考えが間違っているのか。時代についていけてないのか。傷心の中私は呆然とした気持ちで自宅に帰るしかなかった。ベッドに横になり天井を見つめていた。

 私はひらめいた!「そうか、あのスーパーマンだって、ビジネスと悪を退治する為にはバットマンと共演したではないか!映画『バットマンVSスーパーマン ジャスティスの誕生』あの映画を見た時、なんでスーパーマンがバットマンと競演しなければならないのか、地球規模の活躍ができるのに!と、レベルが違いすぎて納得出来なかった。でもお客さんは大喜びだったのだ。そうだったのか、スーパーマンは私よりずっと大人だった。自分のプライドより大衆の笑顔を選んだのだ。時は流れているのかもしれない。

 私の大好きな車もガソリンエンジンやハイブリッドに変わって、遠くないいつの日か電気自動車(EV)になる。恐らくその時代が来ても私の事だから往生際悪くガソリン車に乗っている気がする。これって本当はダメですよね!複雑な気持ちです。

 そうだ!今夜はスーパーマンになった気分で、初の「鰻牛丼」を食べに行こう!!


■テリー伊藤
演出家。1949年、東京都出身。数々のヒット番組やCMなどを手掛け、現在はテレビやラジオの出演、執筆業などマルチに活躍中。


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