日本カー・オブ・ザ・イヤーが決まりました

 2022─2023日本カー・オブ・ザ・イヤー、今年の一台は日産サクラ/ekクロスEVに決まった。軽自動車が大賞を獲得するのはカー・オブ・イヤー史上初めてとなる。選考委員(60名)が最終選考を行うのだが、この2台を推薦した委員のコメントを見ると「環境問題など自動車にとって厳しい時代の中で、初めて本格的なEV軽自動車を生産・販売したことを高く評価する。」「近年地方都市ではガソリンスタンドが減少傾向にあり、自宅近くに無く、スタンド難民が急増している現状を考えると、まさに時代が待っていた車では。」など絶賛が続く。

 

 

 めでたしなのですが… 選考委員の一人でもある私は1位投票しませんでした。日産フェアレデーZに投じました。その理由はズバリ「カッコいい!」からです。初代Zを彷彿させるセクシーなスタイル、走りは期待通り。学生時代初めてZを見た時の「ときめき」が蘇ったのです。当時こんな車でガールフレンドと海へ行きたい、紅葉の軽井沢までドライブしたい、華やかな銀座通りを流したいと思ったものだ。新型Z最高なんですが…残念ながら選ばれませんでした。

 サクラ・ekクロスEVが選ばれる理由が当たり前で何か真面目過ぎる。現状はインフラが整っていない。集合住宅には充電設備が無い。スタンドでは年末年始の混雑時は最低1時間は待たされる事になる。現在の軽EVの航続距離は150キロ程です。先日山中湖までekクロスEVで行ったのだが、帰る前にEVスタンドで急速充電補給(30分)をしないといけなかった。そう考えると、セカンドカーとしてなら良いがロングドライブには向いていない。

 そんな疑問もあり、他の選考委員にも何故軽EVに投票したのか聞いてみた。「本当はZや大きく変革した新型クラウンに入れたかったけど、こんな時代だからこそ軽EVに投票した。」と。そうか、自分がときめく車より世の中の空気が大事なんだ!車好きの子供達はどう思うのか。かつてスーパーカー全盛期に少年だった子が「いつの日か大人になったらフェラーリやランボルギーニカウンタックに乗りたい」と頑張って働き、スーパーカーを手にした話を聞く。軽自動車に憧れるのか?イヤ、それでは困るのだ。いつからか日本車が確実に小市民化している。実用性ばかりじゃ面白くない!実力があるのだから世界が驚くコンパクトなスポーツカーを是非作って欲しい!

 言い忘れたが、韓国・現代自動車・EV車(IONIQ5)が凄い完成度でビックリなんです!BMWやレンジローバー、ルノーを抑えて輸入車部門で賞を獲得した。走りもデザインも最高。韓国車恐るべし!日本車も近い将来追い越されるかもしれない。

 

■テリー伊藤
演出家。1949年、東京都出身。数々のヒット番組やCMなどを手掛け、現在はテレビやラジオの出演、執筆業などマルチに活躍中。

 

 

 

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