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第六十九回
奈良にはなぜ鹿がいるのか_
その歴史は1200年以上遡ります
種々の花が咲き、一年のうちでもっとも麗しい季節と言われる「清明」を迎えました。清明は二十四節気のひとつで、今年は4月5日から4月20日までがその期間です。語源は「清浄明潔」。春の陽光の下、万物が清らかで明るく、生き生きとしている様子を指す四字熟語です。空気が澄み渡り、草木が芽吹き、景色が鮮やかに輝く春先の光景を表しています。
麗らかな陽光に誘われて、日本を代表する観光地のひとつ、奈良もたいへんな賑わいとなっています。奈良には名所・名物が数多くありますが、そのなかでも「鹿」の印象が強いようで、この頃は海外からも奈良公園の鹿に会いに来られる方が増えているそうです。
なぜ、奈良公園にはこんなにもたくさんの鹿がいるのでしょうか。その歴史は大変古く、1200年以上前に遡ります。奈良時代の神護景雲2年(西暦768年)に奈良公園の東側にある神山(神が降臨する、又は神を祀る霊山)「春日山」の麓に、称徳天皇の勅命により、四柱(神様は「人」と数えず、「柱」と数えます)の神様をお祀りする御本殿(春日大社の御本社)が造営されます。そちらの神様のお一柱、武甕槌命が茨城県の鹿島神宮から招かれます。その際、奈良まで白鹿に乗って来られたという伝承から、鹿は神様の使いとして大切に扱われるようになりました。以来、現在まで奈良公園の鹿は「神鹿」という名で手厚く保護されるとともに、人々から愛され続けています。
春日大社では、国家・国民の平和と繁栄を祈る祭祀が年間2200回以上執り行われています。その中でも1200年以上続いている3月13日の「春日祭」は、現在も宮中から天皇の御代理である勅使が参向され、国家・国民の安泰を祈る御祭文が奏上されています。
現在、勅使が参向されるお社(勅祭社)は十六社あり、そのうちの一社が春日大社です。
春日大社の造営を命ぜられた称徳天皇は、奈良の大仏で有名な「東大寺」を建立された聖武天皇のご皇女で、日本で6人目の女性天皇であそばされます。

(4/8/2026)

筆者・森 日和
禮のこと教室 主宰 礼法講師
京都女子大学短期大学部卒業後、旅行会社他にてCEO秘書を務めながら、小笠原流礼法宗家本部関西支部に入門。小笠原総領家三十二世直門 源慎斎山本菱知氏に師事し、師範を取得する。2009年より秘書経験をいかし、マナー講師として活動を開始する。
2022年より、廃棄処分から着物を救う為、着物をアップサイクルし、サーキュラーエコノミー事業(資源活用)・外国への和文化発信にも取り組む。
https://www.iyanokoto.com
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