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アメリカ101 第210回
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来年のアメリカ大統領選挙でのホワイトハウス奪回を狙う共和党の“七人衆”による大統領候補指名争いで、このところ「最も勢いのある候補者」(momentum candidate」として注目を集めているのがニッキー(Nikki)・ヘイリー元サウスカロライナ州知事(51)です。唯一人の女性候補であるだけではなく、インド系というマイノリティ(少数民族)出身という“セールスポイント”を活かして、これまで絶対的な存在感を発揮してきたドナルド・トランプ前大統領を脅かすのは「彼女以外にはいない」という見方もあって、「時の人」となっています。
これまでヘイリーを「過小評価していた」とするのは、ニューヨーク・タイムズ紙のコラムニストであるロス・ドウザットです。それというのも、指名争いの緒戦とされる来年1月23日のニューハンプシャー州での予備選挙を控えて、共和党大統領候補に関する最近の世論調査で、トランプ以外の「その他大勢」とされる候補ではただ一人だけ支持率の大幅な上昇を記録しているのがヘイリーだからです。
ひとつは、エマーソン大学が定期的に実施している同州での11月の世論調査。当然ながら毎回トランプがほぼ過半数を維持しており、今回も支持率49%と、他候補に大差をつけています。そしてヘイリーの支持率ですが、今年8月の時点ではわずか4%だったのですが、それが今回の調査では18%にまで伸びています。以下ニュージャージー州知事クリス・クリスティが9%、フロリダ州知事ロン・デサンティスが7%、実業家ビベク・ラマスワミが5%などです。
またワシントン・ポスト紙とマンモス大学の共同調査では、トランプが46%で、ヘイリーは18%。そしてCNNの調査はトランプが42%、ヘイリーは20%という内訳です。 これらの数字だけをみると、ヘイリーは共和党内の反トランプ勢力をある程度まとめており、支持率を着実に伸ばしているのは明らかで、30%から35%程度の支持率を固めていると思われます。しかしトランプの「共和党大統領候補再指名」「大統領返り咲き」というシナリオを覆すのには不十分のようです。
またヘイリーはトランプ大統領時代からのトランプへの“負い目”があります。それというのも、サウスカロライナ州知事というポジションで、国内政治には精通し、行政手腕を評価されていたものの、外交問題にはまったくの素人だったヘイリーを、国連大使という閣僚格のポストに起用、“全国区政治家”としての成熟を支えてくれた恩人がトランプだったからです。
ヘイリーは、インド・パンジャブ州出身のシク教徒を両親としてサウスカロライナ州バンバーグで生まれ、地元のクレムソン大学を卒業後は両親が経営する会社で働くかたわら、地域社会で市民活動に加わり、その延長線上で州議会議員として活躍。2010年に州知事選に出馬して初当選、再選を果たしたあと、国連大使に抜擢されました。
大統領選挙への出馬を正式に発表したのは今年2月14日。これまでに共和党からは7人が出馬していますが、ヘイリーはトランプに次いで、二人目の立候補者です。共和党から大統領選に出馬した女性候補としては5人目で、非白人女性候補としては初めて。
アメリカの経済界首脳との密接なコネもあり、JPモルガン・チェース会長兼最高経営責任者であるジェーミー・ダイモンらと、しばしば電話で会話する関係とのことで、現時点では“七人衆”のうちでも、「勢いのある“注目株”」(Nikkimentum)ということでしょうか。
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著者/ 佐藤成文(さとう しげふみ)
通称:セイブン
1940年東京出身。早稲田大学政治経済部政治学科卒。時事通信社入社、海外勤務と外信部勤務を繰り返す。サイゴン(現ホーチミン市)、カイロ、ベイルート、ワシントン、ニューヨーク、ロサンゼルス各支局長を歴任し、2000年定年退社。現在フリーランスのジャーナリストとしてロサンゼルス在住。
(11/21/2023)
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