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アメリカ101 第202回
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2024年11月24日が投票日の次回のアメリカ大統領選挙戦が事実上始まっており、与党・民主党側では現職のジョー・バイデンが再選を期している一方で、ホワイトハウス奪回を狙う野党・共和党側では、前任者であるドナルド・トランプや、その副大統領だったマイク・ペンスらの既成政治家から“泡沫候補”まで、合計13人が指名獲得を目指して選挙運動を展開しています。現時点ではトランプが大きくリードしていますが、ここへきて、「2020年の前回大統領選挙結果の無効を主張してきたトランプは、“反乱者”の公職禁止を明記した合衆国憲法修正14条に該当するため、大統領となる資格がない」という議論が浮上、ひとしきり話題となっています。
13人の立候補者にはクリス・クリスティ前ニュージャージー州知事、ロン・デサンティス現フロリダ州知事、ニッキー・ヘイリー元サウスカロライナ州知事、ティム・スコット上院議員(サウスカロライナ州)といった有力政治家が含まれていますが、トランプは抜群の知名度を誇り、大統領経験者であることもあって、このままでは来年の同党全国大会での大統領指名獲得が確実との見方が圧倒的です。 そんなところへ、トランプが“反乱者”という刻印から、指名レースから脱落を余儀なくされるという可能性が指摘されています。
憲法修正14条第3節では、「これまでに連邦議会の議員、合衆国の公務員、州議会の議員、州政府表行政部または司法部の公務員のいずれかとして、合衆国憲法を支持すると宣誓しながら、合衆国に対する暴動または反乱に加わった者(中略)は、連邦上院議員にも、連邦下院議員にも、正副大統領の選挙人になることができ」ないだけでなく、「連邦、あるいは州の文武いずれの官職につくこともできない」と記されています。南北戦争で連邦政府に敵対した南部の政治家や職員を対象した規定です。
トランプの関与は、2021年1月6日の連邦議会議事堂前での、バイデンの当選確定審議を妨害する集会で、支持者に向けて選挙に不正があったとの主張を繰り返し、選挙結果の無効を訴えた事実です。この演説に応じる形で、約800人の支持者が暴徒化、議事堂襲撃に加わり、議会を占拠するという未曾有の事態に発展したことで、事実上の反乱状態を引き起こしたわけです。
このような流れから、今月になってミネソタ、コロラド両州で、プログレッシブ・グループが、2021年選挙でトランプが反乱を教唆したとして、今回の大統領選挙での修正14条の適用を求め、予備選や本選の投票用紙にトランプの氏名を記載しないよう求める訴えを起こしました。ミネソタ州で提訴したのは「フリー・スピーチ・フォー・ピープル」(Free Speech for People)という組織で、訴状には同州の有権者8人が加わっています。
CNNによると、この訴状には共和党が指名した元判事や、共和党支部を運営するイラク戦争の退役軍人や民主党員の元州務長官が名前を連ねています。同州のサイモン州務長官(民主党)は、州民が候補者の公職就任資格を争う権利が州法上保障されているとしたうえで、声明で「このプロセスの結果を尊重する」と指摘しています。専門家によると、南北戦争との絡みで修正条項として採択されたものだけに、今回のケースに単純に適用できるのか、法的解釈待ちです。
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著者/ 佐藤成文(さとう しげふみ)
通称:セイブン
1940年東京出身。早稲田大学政治経済部政治学科卒。時事通信社入社、海外勤務と外信部勤務を繰り返す。サイゴン(現ホーチミン市)、カイロ、ベイルート、ワシントン、ニューヨーク、ロサンゼルス各支局長を歴任し、2000年定年退社。現在フリーランスのジャーナリストとしてロサンゼルス在住。
(9/19/2023)