
第四十一回
先祖をお祀りする
秋のお彼岸が始まります。
9月20日から秋のお彼岸が始まります。秋分の日を中日として前後3日間、合計7日間の秋のお彼岸には、先祖をお祀りする行事がおこなわれます。また、私たちが住む、煩悩や迷いの世界である「此岸」に対して「彼岸」は、すべての煩悩が消滅し、迷いから解放された「悟りの境地」を表わし、その悟りの世界に到る為に必要な6つの徳目「六波羅蜜」の修行をする期間でもあります。
春のお彼岸の時に、六波羅蜜の一つ「布施波羅蜜」についてはコラム(第15回のべっぴん塾をご覧下さい!)に書かせていただきましたので、この度は他の5つの徳目についてお伝えしたいと思います。
❷持戒波羅蜜
規律正しく、節度ある生活を心がけましょう。
❸忍辱波羅蜜
外からの侮辱や迫害に耐え忍び、心を動かさないようにしましょう。
❹精進波羅蜜
常に努力を惜しまず、何事にも全力を投じましょう。
❺禅定波羅蜜
心を一点に集中し、雑念を避け、日々の生活の中で大切な事を見失わないようにしましょう。
❻智慧波羅蜜
物事を正しく判断して、適切な対応をしましょう。
六つ目の「智慧」は、❶から❺の徳目の実践によって体得することができると言われています。
少し厳しい修行ですが、大切なことと思いますので、意識して過ごすようにしたいと思います。
お彼岸の代表的なお供えは、「おはぎ」です。この時季に咲く萩の花が名前の由来とか。「秋の七草」の一つである萩。秋の七草は、飛鳥・奈良時代に編纂された現存する日本最古の歌集「万葉集」に所収されているやまのうえのおくら山上憶良の2首の歌、
「秋の野に 咲きたる花を 指折り
かき数ふれば 七種の花」
「萩の花 尾花葛花 なでしこの花 女郎花 また藤袴 朝貌の花」
に由来します。
萩、ススキ、葛、撫子、女郎花、藤袴、桔梗が秋の七草です。
「七草の節供(1月7日/正式名称は人日の節供)」で粥にして食す「春の七草」が有名である為、秋の七草も食用と思われる場合がありますが、こちらは可憐な花姿を観賞することを楽しむものです。

(9/19/2025)

筆者・森 日和
禮のこと教室 主宰 礼法講師
京都女子大学短期大学部卒業後、旅行会社他にてCEO秘書を務めながら、小笠原流礼法宗家本部関西支部に入門。小笠原総領家三十二世直門 源慎斎山本菱知氏に師事し、師範を取得する。2009年より秘書経験をいかし、マナー講師として活動を開始する。
2022年より、廃棄処分から着物を救う為、着物をアップサイクルし、サーキュラーエコノミー事業(資源活用)・外国への和文化発信にも取り組む。
https://www.iyanokoto.com

