
第十四回
なぜ、お花見にさくら?
日本人が古来から行う「予祝」
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まもなく桜の季節を迎えます。蕾の膨らみ具合までニュースになるほど、桜は日本人にとって特別な存在。3月から4月上旬は、街の風景だけでなく、コーヒーショップのドリンクもケーキもラッピングも桜一色になります。大いに盛り上がる花の季節は桜の潔さと共にあっという間に過ぎていきます。人々が寂しさを感じている頃、花が咲くのも通過点と言わんばかりに桜は黙々と次の準備を続けます。その証拠が桜の染め物。春以外の季節であってもピンク色に染まるのです。慎ましく控えながら準備は怠らず、出番となれば大いに人を喜ばせ、時が来ればすっと身を引く。その潔さに日本人は理想の生き方を見、日本の花と言えば「桜」と言ってきたのでしょう。
お花見は春のお楽しみの一つ。その歴史は長く、元は神事であったとの説があります。田植えをする月を「五月」、田植えをする女性を「早乙女」というように、「さくら」の「さ」は、「田の神」、「くら」は蔵・倉、「納める所」という意味があり、「さくら」には「田の神が宿る」とされ、春にお花見をし、豊作を予め祝うこと(予祝)で、秋の豊かな実りを神に祈願するのです。
「花見」と言えば今は桜ですが、1300年ほど前の奈良時代まで遡ると、花見は「梅を愛でること」でした。今の元号「令和」の由来となった万葉集の「梅花の歌三十二首の序文」には、当時太宰府の長官だった大伴旅人の邸宅で開かれた「梅花の宴」の様子が詠まれています。奈良時代にはすでに天皇や貴族といった人々が花鳥風月を歌に詠み、宴を催す文化があり、それが今につながる花見のルーツの一つとも考えられています。
ちなみに「令和」は248番目の元号にして、初めて日本の書物から言葉が選ばれました。
「初春の『令』月にして気淑く風『和』ぎ」から「令和」。なんと麗しい元号でしょうか。
元号も予祝。そのような御世でありますようにとの願いが込められています。

(3/13/2025)

筆者・森 日和
禮のこと教室 主宰 礼法講師
京都女子大学短期大学部卒業後、旅行会社他にてCEO秘書を務めながら、小笠原流礼法宗家本部関西支部に入門。小笠原総領家三十二世直門 源慎斎山本菱知氏に師事し、師範を取得する。2009年より秘書経験をいかし、マナー講師として活動を開始する。
2022年より、廃棄処分から着物を救う為、着物をアップサイクルし、サーキュラーエコノミー事業(資源活用)・外国への和文化発信にも取り組む。
https://www.iyanokoto.com
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