Vol.22 ホイットニー山 カリフォルニア州
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滝の間近まで行き飛沫を浴び、湿原でを花々を楽しみ写真を撮り、川の冷水で体を冷やす。そして駈ける。次回来る時のキャンプサイトの下見をし、見晴らしの良い所で小休止して軽食。そしたまた駈ける。日暮れまでには未だ暫く時間がある。ヒデゥン・トレジャー。隠された宝石を思わせる、ローンパイン・レイク。トレイルから数百メートル逸れた崖っぷちに、ひっそりと佇んでいる。午後の太陽が澄み切った水を透し、浅い湖底を照らしている。いくつもの魚影が見える。ミラーレイクの例のカップルが、Unbelievably Beautifulと言っていた湖。誇張は無かった。 雪解け水が花崗岩の表面を流れ落ち、小石や土でろ過されながら不純物を取り除き、やがて、この湖に辿り着く。水は澄み切っている。対岸までは200~300mほどだろうか。小さな湖だ。見る角度によって微妙に水の色が違って見える。ぐるりと一周できるルートがあると言っていた。時間はある。周ってみよう。

まだ陽のあるトレイルを駈け下りていると、例のカップルが前方に見えてきた。追いついて、改めて挨拶をし、礼を言う。「全部まわったの?」、驚いた表情で二人で顔を見合わせている。全て回れるとは思っていなかった様だ。トレイルヘッドまで、残すところ1~2マイル。今朝、午前3時に恐る々暗闇のトレイルを歩き始めてから、随分時間が経った気がする。空を見上げる。日没までには未だ時間がある。ザックからヘッドランプを取り出す必要はなさそうだ。ポータルの売店でビール売っているだろうか?ビールを楽しみに、また駈ける。走る事によって見られる景色がある。走る事によって行かれる場所がある。そして、走る事によって得られる時間がある。急いでいる訳ではない。少し歩みを早める事により、より多くのものを見ることが出来る。パンデミックにより、当たり前に謳歌していた自由や日常が、一瞬にして吹き飛んだ。改めて感じるのは、今自分に与えられた時間、自由を精一杯エンジョイすること。後で悔いが残らぬよう、思う存分、寄り道をする事。人生を豊かにする方法は、人それぞれである。然し、私の人生にとって、「寄り道」が欠く事の出来ない、とびきりのスパイスである事に疑いの余地はない。
地球を走る
アウトドア・アドベンチャーのすすめ
Nick D (ニックディー)
コロンビア、メキシコなど中南米での十数年の生活を経て、2007年よりロサンゼルス在住。100マイルトレイルラン、アイアンマンレースなどチャレンジを見つけては野山を駈けまわる毎日。
「アウトドアを通して人生を豊かに」をモットーにブログや雑誌への寄稿を通して執筆活動中。
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