キャンピングカーの旅で気付く「快適さ」の優先順位

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Vol.47 ▶︎“テントを叩く風”が恋しくなるとは・・・

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大きなハプニングもなく無事に最終日を迎えた初めてのキャンピングカーの旅であったが、ガタガタ・ギシギシ・ドンドンに慣れることは無かった。 ギシギシと響くバックミュージックを聞きながら頭に浮かんだのは、何故か幼い日の記憶だった。子供の頃に飼っていた犬のロクと手作りの犬小屋。何十年も前のことなので記憶は定かではないが、おぼろげに蘇って来たのは、市議会議員かなにかの選挙用ポスターが張られたベニヤ板で作ったロクの家。外側はベニヤの裏を使ったので無地だが、小屋の中はというと、立候補者の写真が貼ってある。角材に脆いベニヤを釘で打ち付け一人で作った。小学校の3~4年生だった気がする。当然、出来は悪く、長持ちはしなかった。今更ではあるが、風が吹くたびにガタガタと音を立てる小屋で、選挙候補者の熱い視線に耐えながら、眠れぬ夜を過ごしたロクには申し訳ない事をしたと思う。ちなみに、ロクは黒い犬だった。あれから数十年が経った今、ロサンゼルスの自宅では赤茶色のゴールデンレトリーバーを飼っている。名前はブラウニーだ。犬の名だけを見ると、まったく成長の跡が見えない。

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スネークリバー・オーバールック駐車場にて

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ギシギシはさておき、その他はというと案ずるより産むがやすし。ダーティー・ジョブの手順もしっかりマスターし、かなりエンジョイすることが出来た。慣れれば更に容易に、ハプニングなく旅を満喫することができるだろう。 窓越しに絶景を見ながらの朝食。いつでも冷蔵庫にある冷えたビール。テントをたたく風に悩まされることのない眠り。キャンプとは呼び難いほどの快適さだ。一度はアメリカでキャンピングカーの旅をしてみたい、と考えているのであれば、是非チャレンジしてみる事をお勧めする。様々なハプニングも含め、一生モノの思い出になるだろう。 快適なキャンピングカーの旅だが、個人的にはちょっと複雑な気持ちだ。というのも、その快適さと引き換えに、諦めざるを得ないものがある。元来キャンプとは、寒さ、暑さ、不便さなど、自然の中で非日常を楽しむものだと思っている。日々便利なモノに囲まれて暮らすことが幸せではない。更に、車両の大きさ故に、乗り入れが制限されているルートもある。今回はマウンテンバイクが役に立ったが、それでも辿り着けなかった場所や、見ることの出来なかった景色も少なくない。 自然の中で得られる感動を求めて旅をする私にとって、「快適さ」の優先順位はそれほど高くないかもしれない。 ワンポイント・アドバイス 危なく忘れるところだったが、サプライズがないように伝えておきたいことが一つある。それは、キャンピングカーは燃費がすこぶる悪いということ。今回レンタルしたモデルは一番小さい部類に入るものだが、それでも恐らくリットル当たり5㎞くらい。大きなモデルになれば、さらに悪くなる。アメリカではガソリンの単位はガロン、そして距離はマイル。旅の途中ではピンとこないかもしれないが、後でクレジットカードの明細を見てビックリしないようにご注意を。

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ボネビル・ソルトフラッツでも、カラカラに乾いた湖面をバイクで楽しんだ

 

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(1/24/2023)


 

Nick D (ニックディー)

コロンビア、メキシコなど中南米での十数年の生活を経て、2007年よりロサンゼルス在住。100マイルトレイルラン、アイアンマンレースなどチャレンジを見つけては野山を駈け回る毎日。「アウトドアを通して人生を豊かに」をモットーにブログや雑誌への寄稿を通して執筆活動中。

http://nick-d.blog.jp

 


 

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