息を飲む美しさ! 透き通る青「グランド・プリスマティック・スプリング」

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Vol.41 ▶︎直径110m超えのガイザーは桁違いにデカい!

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ノリス・ガイザーからオールドフェイスフルへと繋がる50㎞程のルート上には、色取り取りのガイザーが点在する。その中でも群を抜いて美しいのが、ミッドウェイ・ガイザー・ベイスンにあるグランド・プリスマティック・スプリングだ。

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ボードウォークから見たグランド・プリスマティック・スプリング

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その美しさもさることながら、規模も直径110m超と桁違いにデカい。中心部はカリブの海を思わせる青。その周りには黄色とオレンジのグラデーションが広がっている。 ガイザー内の水温は中心部と周辺部では異なる。その温度差によって異なったバクテリアが繁殖し、見る者を魅了するグラデーションを作り上げるらしい。 オールドフェイスフルの近くにある、七色のグラデーションで有名な、モーニンググローリー・プール。近年、その色彩の鮮やかさが失われているという。観光客が投げ込むコインやごみの影響だ。ごみの除去作業も行われているが、デリケートなバクテリアの繁殖への影響は避けられない。 グランド・プリスマティック・スプリングに続く一本道。ノロノロ運転が30分以上も続いている。行く手には終りが見えない車の列。イエローストーンを訪ずれるのは今回が四度目だが、これまでこんな渋滞は見たことがない。この辺りは野生動物は比較的少ない。路肩も広い。動物渋滞でないのは間違いないだろう。という事は、この渋滞が目指すグランド・プリズマティックまで続くことになる。目的地についても、キャンピングカー用の大きめの駐車スペースを見つけるのは至難の業だ。左手にピクニックエリアに続く脇道が見える。前方を確認し、ゆっくりと左にハンドルを切った。

ヘルメットに覆われた頭が汗ばみ少し痒い。それ以外には文句のつけようがない。渋滞する車の列を横目に、マウンテンバイクは前へ前へと進む。少し火照った体を高地の風が心地よく冷やしてくれる。後方を振り返る。家内は10メートルほど後ろだ。目指す先は、グランド・プリスマティック・スプリングを高台から見下ろす丘。 駐車場をやり過ごし、その先にあるフェアリー・フォールのトレイルヘッドに乗り入れた。ここから1㎞程はオフロードとなる。丘の頂きに続く最後の数百メートルは、多少傾斜がきつい山道のため。マウンテンバイクの乗り入れは禁止されている。 登り切った先には、驚きの光景が待っていた。美しい色彩を放つグランド・プリスマティック・スプリング、その全貌を高所から見るのは初めてだ。中心部の透き通る青が、淵に行くにしたがい緑身を帯び、やがて黄色になる。周囲にオレンジ色の波紋が装飾を添える。その模様は、皆既日食の時に見られる太陽の周りを覆うコロナを連想させる。束の間、立ち上る湯気がガイザーを覆う。風が吹く。再び神秘の泉が現れ異彩を放つ。火山活動とバクテリアが作り出した奇跡の小宇宙。見つめていると吸い込まれそうな感覚に襲われる。 ボードウォークはディズニーランドのアトラクションを待つ列のようだ。人の流れが止まることはないが、なかなか目的地に着かない。グランド・プリスマティック・スプリングの小宇宙を高台から存分に楽しんだ後、再びマウンテンバイクに跨り、来た道を戻った。車と人でごった返す駐車場の隅にバイクを停め、ボードウォークを歩き始めたが、すぐに徒歩渋滞にハマった。都会の人込みを避けてやってきたワイオミングの大自然。ここまで来て、アトラクション待ちのごとく列に並ぶとは、なんとも皮肉な話だ。 オールドフェイスフル・ビレッジ、時計は午後5時数分前を指している。

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アトラクションを待つ長い列

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またもやアイスクリームを食べ損なってしまった。これで三度目だ。周りの人たちは美味しそうにダブル・スクープのアイスクリームを食べている。 この時期、ワイオミングの日没は午後九時過ぎ。日が長いので時間の感覚が麻痺してしまう。ほとんどの店は午後5時で閉店する。これまでに二度アイスを買い損ねた。店の前で目にしたのは、またしても長い人の列。途中で足切りされるのは間違いない。

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(12/7/2022)


 

Nick D (ニックディー)

コロンビア、メキシコなど中南米での十数年の生活を経て、2007年よりロサンゼルス在住。100マイルトレイルラン、アイアンマンレースなどチャレンジを見つけては野山を駈け回る毎日。「アウトドアを通して人生を豊かに」をモットーにブログや雑誌への寄稿を通して執筆活動中。

http://nick-d.blog.jp

 


 

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