

筆者・志村 朋哉
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南カリフォルニアを拠点に活動する日米バイリンガルジャーナリスト。オレンジ・カウンティ・レジスターなど、米地方紙に10年間勤務し、政治・経済からスポーツまで幅広く取材。大谷翔平のメジャー移籍後は、米メディアで唯一の大谷番記者を務めた。現在はフリーとして、日本メディアへの寄稿やテレビ出演を行い、深い分析とわかりやすい解説でアメリカの実情を日本に伝える。
通信018
アカデミー賞の見どころは?
映画が映すアメリカの今
映画界最大の祭典、アカデミー賞が3月2日に開催されます。会場はロサンゼルスのドルビーシアター。
1月にロサンゼルスを襲った大規模な山火事の影響で、授賞式を中止すべきではという声も上がりましたが、運営側は「経済効果」と「復興の象徴」を理由に開催を決めました。司会は人気コメディアンのコナン・オブライエンが務めます。パシフィックパリセーズに住むオブライエンは、幸いにも家は無事だったそうですが、まだ自宅には戻れていないそうです。「復興」へのメッセージが込められたイベントとなりそうです。
熾烈な作品賞レース
今年のノミネート作品を見ると、多様なジャンルやテーマが揃っています。作品賞には、『デューン 砂の惑星PART2』のような壮大なSF映画から、ボブ・ディランの伝記映画『名もなき者』、ミュージカル『エミリア・ペレス』まで、幅広くノミネートされています。
作品賞レースは例年以上に混戦ですが、ストリップダンサーとロシア人の御曹司の結婚を描いたドラマ『アノーラ』が最有力とされています。同作は前哨戦ともいえるプロデューサー組合賞、監督組合賞を制しています。ローマ教皇選びの舞台裏に迫ったミステリー『教皇選挙(Conclave)』も映画俳優組合によるトップ賞に輝き注目を集めています。
日本にゆかりのある作品としては、東映アニメーション制作の『あめだま』が短編アニメーション部門、伊藤詩織監督の『Black Box Diaries』が長編ドキュメンタリー部門、山崎エマ監督の『Instruments of a Beating Heart』が短編ドキュメンタリー部門にノミネートされています。
リベラル vs 保守
近年、アカデミー賞は「リベラルすぎる」と批判を受けています。特にトランプ政権以降、受賞作品や授賞式でのスピーチが、人種やジェンダー、LGBTQ+などの多様性や、気候変動や移民政策についてなど政治的なメッセージを含むことが増えました。
これに対し、保守派は「ハリウッドは左派のプロパガンダの場になっている」と批判しています。例えば、20年に『パラサイト』が作品賞を受賞した際、トランプ大統領は外国映画が選ばれたことに疑問を呈し、ハリウッドの国際化や多様性の推進に反発を示しました。
「多様性」をめぐる議論
「多様性」が重視されるようになり、今年も黒人俳優のコールマン・ドミンゴやシンシア・エリヴォが主要部門にノミネートされるなど、より多様な背景を持つ映画人が評価されるようになりました。『エミリア・ペレス』で主演のカルラ・ソフィア・ガスコンが、アカデミー賞史上初めてトランスジェンダー女優として主演女優賞にノミネートされたのも象徴的な出来事です。
一方で、「多様性が映画の芸術性よりも重視されすぎているのでは?」という批判もあります。24年から適用された「多様性基準」により、作品賞を狙う映画はキャストやスタッフに女性や有色人種、LGBTQ+の関係者を含める必要があります。これについて、「制作者が多様性基準を満たすことを優先してしまい、芸術的な完成度が損なわれるのではないか」と懸念の声もあります。
アカデミー賞は、こうした社会の縮図として、今後も映画を通じてアメリカの政治・文化の対立を映し出す場であり続けるでしょう。
授賞式は西海岸時間の午後4時からABCで生中継され、Huluでもストリーミング配信されます。ノミネート作品の中には、まだ映画館で上映されているものもありますが、多くはすでにストリーミングで配信されています。気になる作品はぜひご覧になってみてください。
(2/26/2025)
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