宮崎駿監督最新作、スタジオジブリによる映画『君たちはどう生きるか』は日本公開約1ヶ月前にして、ほとんど情報が公開されていない。映画について分かっているのは、タイトルと鳥の絵が描かれたポスタービジュアル1枚のみだ。宮崎駿、本当の引退作とも言われる本作だが、ジブリがプロモーションに力を入れていないのはなぜなのか。
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その理由は、ジブリ生みの親として『風の谷のナウシカ』から数々の名作を生み出してきた鈴木敏夫プロデューサーによって語られている。2023年6月上旬に行われた文藝春秋企画の対談番組に登場した鈴木は、作品に関する宣伝が行われていないことを突かれると、すかさず「やめたんですよ」と返答。
「今までは、ジブリっていう会社を運営しなければならなかった。映画を作るんだから、お客さんに来てほしいと考えていたのですが、いろいろやってきたけど、そろそろいいかな・・・って。」
意外にもあっさりとした回答にも思えるが、この決断は観客を思ってのこと。「決まりきったことを毎回やるのは嫌ですよね」と続ける鈴木は、近年の映画宣伝が“情報過多なサービス”になっていることを指摘しながら、「お客さんにとっては、面白いところを全部奪っているようなもの」と話している。
こうした鈴木の案により、ジブリ公式から出されている情報はタイトル以外に、1枚のポスタービジュアルのみ。鈴木によれば「本当はもう一枚くらい作る予定だった」そうだが、戦友でもある宮崎駿からかけられたある言葉が、鈴木を引き戻した。
「『風の谷のナウシカ』からずっと映画をやってきて、宮崎駿が初めて本当に褒めてくれた。“鈴木さん、これすごいよ”って。(このポスターは)“今までやってきた中で一番だ”って言ってくれた。それがヒントになったんですよ。そしたら、これだけでいこうって。だから、予告編も一切なし、テレビスポットも一切なし、新聞広告もなし。お客さんも潜在的にそれを望んでいるはずです。」
映画といえば、公開前からティザー映像や予告編といった映像宣伝が各所で配信されるのが主流で、近年のハリウッド大作では約3分にも及ぶ予告編が数本公開されることもある。鈴木は『君たちはどう生きるか』の宣伝方針について「だから、その逆です」と語っているが、果たしてこの決断が吉と出るか凶と出るか。

『君たちはどう生きるか』は2023年7月14日、日本公開。
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