『赤ずきん、旅の途中で死体と出会う。』

 赤ずきん旅の途中で死体と出会う、なんと不思議な言葉なんだろうか!

 私がこの本を知ったのは新聞広告だった。青柳碧人著書の童話ミステリー(双葉社)だ。なんとも興味をそそるではないか!あの赤ずきんが殺人事件に遭遇とは。それだけではない、赤ずきんはシンデレラとカボチャの馬車でお城に向かう途中、男をひき殺してしまう!! さらにヘンゼルとグレーテルにミートパイをご馳走なった赤ずきん。帰って来ないお母さんを探しにお菓子の家に行ったところ、倒れた棚の下で死んでいた!本文を見ない訳にはいかない内容になっている。そうなんです、今話題騒然なのだ。

 それにしても作者の着眼点が素晴らしい!世界中の誰もが知っている赤ずきんに殺人事件を絡ませるなんて。そして事件を見事に推理し解決していく。こんなミステリー小説、売れない訳がない。前作『むかしむかしあるところに死体がありました』もベストセラー!本屋大賞にもノミネートされた。この本の成功を分析してみよう。

 成功の鍵はミスマッチだ。赤ずきんと殺人!! 違和感のある合体が新たな価値観を産む。

 私の以前やった企画「早朝バズーカ」も元はとんでもないことがきっかけでした。風営法が出来た頃、ソープランドの営業時間が深夜12時迄と規制された。経営者の皆さんは苦肉の策で早朝ソープを始めたのだ。それが大ヒット。それにヒントを得て「早朝バズーカ」を考えた。今までなら絶対に相容れない同士がふとした事からお互い輝きだす!めでたい話ではないか。そう考えると、世の中にはいっぱいある。「イチゴ大福」だって最初は皆びっくりしたが、今では昔からあるような気分で美味しく食べている。ピザもそうかも。私は長い間タバスコしか掛けなかったが、ある時4種のチーズたっぷりのクワトロフロマッジにハチミツを掛けているのを見てびっくりした。これが何ともおいしいではないか。病みつきになってしまった。そうなんです!今まで持っていた固定観念なんて一瞬に変わるのです!!

 食には保守的すぎる私ですが挑戦してみたい。私の2大大好きなアイスクリームとシーフードカレーのコラボはどうだろう。まずは白いお皿の上にコンビニで買ってきたバニラアイスをカップから外し逆さに置く。その上からシーフードカレーを流し込む!! もちろんライスは入れない。問題はカレーのルーの熱さでアイスクリームが溶けてしまうことだ。慌てて食べると火傷する恐れもある。最も心配なのは味わう時間があるのか!そうなんです、食べる前からこんな事考えているようではダメですよねぇ!みなさんも面白コラボであたらしい挑戦やってみませんか!


■テリー伊藤
演出家。1949年、東京都出身。数々のヒット番組やCMなどを手掛け、現在はテレビやラジオの出演、執筆業などマルチに活躍中。


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