
第四十六回
メジャーリーガーも学んだ
子どもたちの「星野ジャパン」
「星野ジャパン」というと、日本の名将星野仙一氏が監督をなさった北京オリンピック(2008年開催)での野球の日本代表チームを指しますが、子どもたちの「星野ジャパン」もあったことをご存知でしょうか。
驚異的な連続試合出場回数の記録を持ち、“アイアンマン〟と呼ばれた元メジャーリーガーのカル・リプケンJr氏が少年野球発展の為、故郷メリーランド州アバディーンで立ち上げた世界大会があります。「カル・リプケン12歳以下世界少年野球大会」です。
そちらの大会に出場する日本代表チームの支援を星野仙一氏が2007年から亡くなる2018年までなさっていたことから、こちらのチームも「星野ジャパン」と呼ばれています。
その星野ジャパンの監督を2009年から5年間務め、2013年には3年連続世界一を達成した奥村幸治氏からカル・リプケンJr氏、星野仙一氏とのエピソードをいくつかお聞かせいただきました。
奥村氏は、シアトル・マリナーズで活躍し、今年殿堂入りされたイチロー氏のオリックス・バッファローズ(NPB)
時代の専属打撃投手でいらっしゃった方です。その後、中学生のクラブチーム「宝塚ボーイズ」を立ち上げ、教え子にはニューヨーク・ヤンキースで活躍した田中将大選手がいらっしゃいます。
大会期間中のある時、カル・リプケンJr氏が日本代表チームのもとに訪れ、集合した子ども達にこうおっしゃったそうです。
「日本チームの皆さん、貴方たちは世界の子ども達の模範です。礼儀正しさ。監督やコーチの話を目を見てしっかりと聞く。道具を大切にする。仲間を大事にする。野球の技術だけではなく、世界の子ども達が見習うべきことが多いです。だからこそ、私は貴方たちに勝ってほしい」と。
アメリカ人でいらっしゃるカル・リプケンJr氏が「日本チームに勝ってほしい」とおっしゃるその意図は何でしょうか。
「野球人は人として立派であってほしい」という願い。
そして、「子ども達が応援される人であってほしい」との願いを込めておっしゃったのではないかと思うのです。
(次号に続く)

(10/24/2025)

筆者・森 日和
禮のこと教室 主宰 礼法講師
京都女子大学短期大学部卒業後、旅行会社他にてCEO秘書を務めながら、小笠原流礼法宗家本部関西支部に入門。小笠原総領家三十二世直門 源慎斎山本菱知氏に師事し、師範を取得する。2009年より秘書経験をいかし、マナー講師として活動を開始する。
2022年より、廃棄処分から着物を救う為、着物をアップサイクルし、サーキュラーエコノミー事業(資源活用)・外国への和文化発信にも取り組む。
https://www.iyanokoto.com









