第一回
礼法ってなぁに?
はじめまして。この度、連載の機会をいただきました礼法講師の森日和と申します。礼法や日本のしきたりを通して、皆様に「美しい日本の心」をお届けいたしたく存じます。どうぞよろしくお願い申し上げます。
さて、今しがた、「礼法や日本のしきたりを通して」と申しましたが、皆様は「礼法」という日本の伝統文化をご存知でしょうか。
私が学びました「小笠原流礼法」はその歴史、なんと約800年!
流鏑馬に代表する弓馬を指南することから始まり、700年ほど前からは礼儀作法を伝える役目も加わって、美しい日本の精神文化を伝え継いでいます。
礼儀作法とお聞きになると、「『~せねばならない』というもの」「堅苦しいもの」といった印象をお持ちの方が多いようですが、その印象は半分誤解です。礼儀作法の基本精神はあくまで「相手を思いやる心遣い」にあります。堅苦しく振る舞うことが自然な場面では、堅苦しく振る舞いますが、砕ける場面では、砕けた振る舞いをする。その場に応じて、自然に、周りの方にとって心地よく振る舞うことが礼儀作法なのです。
「礼儀」は、「おもいやりの心」「敬いの心」「慎みの心」、これらの3つの心を指します。そして、その心を伝える手段が「作法」。つまり、相手を想う心とその心を伝えるための手段があってはじめて「礼儀作法」が成り立つのです。
時々、「礼儀と作法はどちらが大切ですか」と聞かれます。作法は相手を想う礼儀の心から生まれるので、礼儀の方が大事とお思いになる方が多いかもしれませんが、想う心があってもその心を人の為に活かす手段を持ち合わせなければ相手の喜びにはつながりません。心と手段、両方が具わってこそ「礼儀作法」。両方の調和によって人はその姿を美しいと思い、幸せを感じるのです。
日本のしきたりには生きていく上で大変役立つ「知恵」のメッセージが込められています。
これから誌上で、皆様とご一緒に、日本の礼法としきたりを深めて参りたいと思います。
(12/4/2024)
筆者・森 日和
禮のこと教室 主宰 礼法講師
京都女子大学短期大学部卒業後、旅行会社他にてCEO秘書を務めながら、小笠原流礼法宗家本部関西支部に入門。小笠原総領家三十二世直門 源慎斎山本菱知氏に師事し、師範を取得する。2009年より秘書経験をいかし、マナー講師として活動を開始する。
2022年より、廃棄処分から着物を救う為、着物をアップサイクルし、サーキュラーエコノミー事業(資源活用)・外国への和文化発信にも取り組む。
https://www.iyanokoto.com