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Vol.23 ▶︎ザイオン・シーニックドライブ(帰り道)
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ナローズでの川歩きを暫し楽しんだ後、濡れた体を乾かし、シューズを履き替え向かう先は、ザイオンロッジ。1.6㎞のトレイルを歩き、テンプル・オブ・シナワバで再びバイクに跨り、6㎞先を目指す。ロッジに併設するカフェで食べるピザとサラダ、そしてソフトクリーム。昼食時に立ち寄るはずだったが、タイミングを逃してしまった。過去に何度も来ている家内のお気に入りの場所だ。
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レストランの窓越しから見える夕焼けに染まった雄大なザイオンの峰々
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午後の陽を全身に受け、濡れた体がちょうど乾いたころにロッジに到着した。一目散でカフェへ向かい注文と思いきや、店員が無表情に、「午後5時でオーダーは終わったよ」。時計の針は、5時6分を指している。空腹に耐えて、ピザを夢見ながらバイクを漕ぎ続けてきた家内の落胆は大きい。店員と交渉をするも世は無情だ。ピザもなければフトクリームもない。持参したスナックも底をついた。「糸の切れた操り人形」の再来は何とか避けなければならない・・・
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陽暮れ前に無事ゴールである宿に辿り着いた。レストランの窓の向こうには、夕焼けに染まりながら、静かに訪れる闇を待つ雄大なザイオンの峰々佇む。長方形のフレームに完璧に収まったその風景は、キャンバスに描かれた絵画の様な芸術性に満ちている。 心地よく冷えたマルガリータと地ビールで、デュアスロン完走の祝杯をする。「今回は記念メダルはないね~」と少し残念そうであるが、チャレンジを成し遂げて喜びいっぱいの家内。何とかエネルギー切れを回避し、無事宿に辿り着いてほっとする私。夫婦それぞれの思いで過ごす、至福の時がそこにある。
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因みに、ザイオンロッジで「糸の切れた操り人形」の危機を救ってくれたのは、カフェの隣にあるレストラン。開店準備中の店員に頼み込んで、特大のチョコレートアイスクリームをゲットした。これで残り10㎞のバイクに必要十分なカロリーを得て、ゴキゲンムードをキープしたまま、最終地点まで辿り着くことが出来た。全ては、心優しいレストランの店員さんのお陰である。Life is good with ice cream !
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ザイオンロッジに向かう途中。バックパックには早朝に着ていた長袖レイヤー、川歩き用の靴、トレッキングポールなど様々なものが入っている
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【ワンポイント・アドバイス】
園内での自転車利用 ザイオンキャニオンのシャトルバスのルートとなっているシーニック・ドライブは全長約8マイル(13㎞)。ビジターセンターから、終点のテンプル・オブ・シナワバ方向に向かって緩やかな登りとなっている。急勾配はなく、とても快適なサイクリングルートである。往路は上りのため多少疲れるが、帰路は逆に下りとなり、疲れた足にやさしいルート。シャトルバスにはバイク用のラックが常備されているので、行きはバス利用、帰りのみサイクリングという選択肢もある。ザイオン南エントランスに隣接するスプリングデールにて、レンタルバイク調達可能で電動バイクも数多くある。園内は道幅が狭いため、後方からシャトルバスが近づいてきたら自転車を停めて、一旦降りてシャトルバスの通過を待つというルールがあるので注意しよう。
※本文はパンデミック規制下での出来事が含まれ、現在は状況が異なる場合があります。
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(8/3/2022)
Nick D (ニックディー)
コロンビア、メキシコなど中南米での十数年の生活を経て、2007年よりロサンゼルス在住。100マイルトレイルラン、アイアンマンレースなどチャレンジを見つけては野山を駈け回る毎日。「アウトドアを通して人生を豊かに」をモットーにブログや雑誌への寄稿を通して執筆活動中。