
ららら編集部・松原がロサンゼルスでの生活を通して、映画やカルチャーについて感じたことや見つけたことを、毎週金曜日にお届けします。

松原 夏子 Natsuko Matsubara
明治学院大学文学部芸術学科映像芸術学系列卒業。コロナ後に渡米し、UCLAエクステンションでProducing Certificateを取得。現在、Weekly LALALA編集部の一員として、ロサンゼルスで奮闘中。
Instagram @natsuko.matsubara
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第3回:LAで出会ったロールモデルたち
3月下旬に、サンタモニカのLaemmle Royalで行われたドキュメンタリー映画『AUM: The Cult at the End of the World』(2023)の劇場公開初日、Q&A付きの上映に行ってきました!その回のチケットはなんと完売。
オウム真理教の実態に追ったこの作品は、共同監督・脚本・プロデュースを柳本千晶さんが手がけており、2023年にサンダンス映画祭USドキュメンタリー・コンペティション部門でプレミア上映されました。貴重な当時の映像に加え、新たに撮影されたインタビュー映像が強烈な印象を残しており、衝撃を受けました。北米での配信も開始され、さらに多くの注目を集めています。
私は1995年に東京で起きた地下鉄サリン事件の後に生まれ、物心がついた後に日本のテレビ番組で当時の状況を見たり、学校の教科書に事件について記載されていた内容は覚えているのですが、今回この作品を見て、私はあまりにも知らな過ぎたと気づかされました。そして、その題材を伝えると決意した作り手によって描かれる重要性や、ドキュメンタリー映画が人々にこうして観られることの意義を改めて感じました。
上映後に行われたQ&Aでは千晶さんが登壇し、次々とあがる観客たちからの積極的な質問に答えていらっしゃいました。

千晶さんは、山梨県出身で、高校卒業後に渡米し、カリフォルニア州立大学ノースリッジ校・映画制作学科で学士号を取得。プロデューサーの一瀬隆重氏(『リング』『呪怨』)がロサンゼルスに拠点を置く制作会社でキャリアをスタートし、その後国際的な視点から多様な映像作品を手がけるほか、2022年には日本のインディペンデント映画や日本映画監督たちを世界に届ける配信プラットフォーム「SAKKA」を立ち上げるなど、精力的に活動をなさっています。
千晶さんは生まれ育った日本を離れて、ロサンゼルスで20年以上ストーリーテリングを続け、それが観客たちに響いているのを間近で見て、とてもエンパワメントされました。
ロサンゼルスに来て良かったと思うことのひとつが、たくさんのロールモデルたちに出会えたことです。価値観や暮らしのスタイル、仕事への関わり方は、さまざまな形がある。色んな方とお話していくうちに、本当にキャリアパスは人それぞれで、私ももっと柔軟な発想で好きなことに向き合っても良いんじゃないかなと思えるようになりました。私は石橋を叩いてもはや壊すレベルで真面目で、「自分なんてどんなに頑張ってもいつも十分になれない」とよく思っていました。でも、今は上手くいくかは分からないけど、ロサンゼルスでやってみたいことはトライしてみようと少しずつ思えています。
正直、人に会うことが精神的に負担に感じたり、一人で部屋でごろごろしてようかなと思う時もあります。でも、ふと何故かそういう時に中学生の時に読んだ角田光代さんの小説『ひそやかな花園』を思い出します。「このまま部屋にいれば私をすごく傷づける人や酷いことに遭わないで済むかもしれないけど、外に出たらもしかしたらだけどすごく素敵な瞬間や人々に出会えるかもしれない」そうやって自分を励まして、今日も私はロサンゼルスで外に出ています。
誰かの理想になろうと頑張っても、その評価は他人が握っていて、変動しやすく、自分軸で生きているわけではないから苦しくなる。私たちは、チョコレートみたいに溶けて、誰かの理想の型にぴったりとハマることなんてできません。そして、なりたい自分を見つけることもある種の運や才能だと思います。「自分はこういうことが好きなんだ、心地良いんだ」と気付けても、どうしたらいいのか分からなかったりします。本当にただ生きてくだけでも大変ですよね。
だからこそ、多様なロールモデルが必要なんだと思います。「自分もこういうことをしてみるのも選択肢のひとつかな」「こういうこともできるんだ!」と思えることは、とても心が安らぎます。
私が誰かのロールモデルになれるのかは今のところ自信が無いのですが、まずは、自分が自分の味方でいることを第一歩として進んでいきたいなと思います!
Laemmle Royal
1924年に「Tivoli」として誕生した歴史ある映画館。1972年にLaemmleが運営を引き継いで以来、インディペンデント映画や外国映画、アート系作品の上映に力を入れています。
【住所】11523 Santa Monica Blvd. West L.A., CA 90025
(4/25/2025)
『LAのダイナーで、映画を夢見る私たち』のバックナンバーはこちら
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