
ららら編集部・松原がロサンゼルスでの生活を通して、映画やカルチャーについて感じたことや見つけたことを、毎週金曜日にお届けします。

松原 夏子 Natsuko Matsubara
明治学院大学文学部芸術学科映像芸術学系列卒業。コロナ後に渡米し、UCLAエクステンションでProducing Certificateを取得。現在、Weekly LALALA編集部の一員として、ロサンゼルスで奮闘中。
Instagram @natsuko.matsubara
第2回:米津玄師 LAライブ
4/6(日)に、イングルウッドにあるYouTube Theaterで開催された米津玄師さんのワールドツアー「KENSHI YONEZU 2025 WORLD TOUR / JUNK」の千秋楽に行ってきました!

はじめてこのエリアを訪れたのですが、会場の周りを少し歩いてみると、きれいめに見える白めのコンクリートで舗装されているところや、水辺の広がる風景、工事が進行中の街の景色などが目に入り、なんだか開発中の日本の豊洲を思い出しました。劇場やライブハウス、BBQ、ショッピングモール…色んな思い出があります。最近の豊洲はどんな感じになっているのでしょうか。
まだロサンゼルスに来て1年ちょっとですが、日本についても自分が知らないことが増えてきた気がして、少し焦りを感じることがあります。情報をどこから得るのか、しっかり見極めなければと意識的にアンテナを張るようにしています。
さて、会場には多くのアジア系のファンが集まっていて、日本のアーティストが日本語の曲で、これほど多くの人々を熱狂させていることに本当に感動しました。また、日本のエンターテインメントのパワーや可能性を改めて感じ、勇気をもらいました。
「KICK BACK」の演出や照明がとてもかっこよく、米津さんはもちろん、ダンサーのTEAM TSUJIMOTOの皆さんのパフォーマンスも素晴らしかったです。まるで舞台上で繰り広げられる激動の物語を体感しているかのような、圧巻の時間でした。
「ピースサイン」の際に、観客の皆さんがリズムに乗りながらピースサインを掲げ、会場全体がブルーの光に包まれた光景は、グッとこみ上げるものがありました。
私たちは、ここにいる。
近年、ドラマ『SHOGUN 将軍』をはじめ、日本にゆかりのある人々の世界での活躍が本当に嬉しく、励まされています。ハリウッドでアジア人が活躍する作品が増えてきたものの、まだまだ十分とは言えません。アジア人のストーリーを語ることを少しでもやめてしまったら、すぐに時代が戻ってしまうのではないかという不安も感じています。だからこそ、語り続けることが重要だと思っています。
ロサンゼルスに来てから、表面上は丁寧に見えても、相手に確実な悪意がある言動や、マイクロアグレッションに傷ついたり、疲弊することが度々ありました。「自分がシリアスに受け取りすぎているのかな」「たいしたことない」と自分に言い聞かせても、そういう人と一緒にいると、日々の積み重ねで、やっぱり心が段々擦り切れていくんですよね。どうしてこっちが一生懸命説明して、相手に“分かっていただく”みたいな感じにならなきゃいけないんだろうと虚しくなったり、言葉を尽くしても、話せば話すほど相手の分かってなさに愕然としてしまって、見えている世界の圧倒的なギャップに、「ああ、もう無理だな」と思ったこともありました。
どうしたらいいのか悩んできたのですが、ひとつ言えることは、人種を選ぶことはできないし、変えることはできない。私は永遠にアジア人であるということです。
コミュニティの大切さも、ロサンゼルスに来てから気づかされました。トーランスをはじめ、ロサンゼルスには多くの日系スーパーや飲食店、さまざまな日系企業があり、そのおかげで落ち着いて生活を続けられていると感じています。ホームシックにもならず、「ここで頑張っていこう」と思えるのは、そうした環境に支えられているからだと思います。
今お仕事をさせていただいている中で、これまで道を切り拓いてこられた先輩方の凄さを日々実感しています。私もAsian representationにより貢献できるよう邁進していきたいと思います!
YouTube Theater
カリフォルニア州イングルウッドにある約6,000席のライブ会場。2021年にオープンし、音楽ライブ、コメディ、eスポーツ、企業イベントなど多彩な公演が開催されています。
【住所】1011 Stadium Drive Inglewood, CA 90305
(4/18/2025)