ポン・ジュノ展@アカデミーミュージアム

ららら編集部・松原がロサンゼルスでの生活を通して、映画やカルチャーについて感じたことや見つけたことを、毎週金曜日にお届けします

松原 夏子 Natsuko Matsubara

明治学院大学文学部芸術学科映像芸術学系列卒業。コロナ後に渡米し、UCLAエクステンションでProducing Certificateを取得。現在、Weekly LALALA編集部の一員として、ロサンゼルスで奮闘中。

Instagram @natsuko.matsubara

第4回:ポン・ジュノ展@アカデミーミュージアム

先日、アカデミーミュージアムに行ってきました!アカデミーミュージアムは、去年『SHOGUN 将軍』のプレミアや上映などで訪れたことはあったのですが、展示を見るのは実はこれが私にとって初めてでした。

お目当ては、映画『パラサイト 半地下の家族』(2019)でアカデミー賞を受賞したポン・ジュノ監督についての展示「Director’s Inspiration: Bong Joon Ho」。今年の3月23日から展示が始まり、2027年1月10日まで開催予定となっています。

ポンジュノ監督作品の絵コンテや手書きの資料、小道具、映像の展示など、大充実の内容でした。特に壁一面に広げられた『パラサイト 半地下の家族』の大量の絵コンテたちは圧巻で、さらに画面上で、絵コンテと実際のシーンを同時に映し出しているブースがあり、改めて構図などの巧妙さ、絵コンテに書いていある意図とその実現性の高さに驚かされました。

私が一番好きなポン・ジュノ監督作品『ほえる犬は噛まない』(2000)についての展示もあり、かなり胸アツでした。

アカデミーミュージアムは、地下を含め7階建てで、広大な複数のフロアで常設展・特別展が開催されており、私が行った際には、映画『バービー』など数々の歴史を残した映画の衣装の展示、『バンビ』や『白雪姫』などのディズニーアニメーションの作画、SF映画、ハリウッド映画産業の歴史、アカデミー賞の歴史についての展示など盛りだくさんの内容でした。

ハリウッド映画『サヨナラ』(1957)で、アジア人俳優として初めてのアカデミー賞助演女優賞を受賞したMiyoshi Umekiさんについてのパネルも発見。これまで彼女についてあまり多くの文献を読んだり、詳しく学んでこなかったのですが、今回をきっかけに彼女についてもっと知りたいと思いました。

ロサンゼルスに来てから、黒澤明作品をはじめとした日本映画について聞かれることがしばしばあるのですが、期待されているレベルのことを自分が答えられていないなと思うことがよくあり、日本にいる時にもっと資料を探したり、作品分析をしておけばよかったと後悔しています。

日本の大学に通っていた時は、いくつか日本映画の授業は取っていましたが、どちらかというと日本以外の国の映画に意識が向いていたと思います。卒業論文は、現存するヒッチコック作品を全て観て、手にできるヒッチコック関連の文献を全て読んだ上で作品分析をして、ヒッチコック作品のヒロイン像について論じました。

日本の外に出たからこそ気付いた日本映画への関心や視点もあり、これから少しずつまた日本映画や日本カルチャーについて考えていきたいと思っています。

さて、話はアカデミーミュージアムに戻りますが、屋上には開放的なテラスが広がっており、少し遠いですがハリウッドサインも見ることができます!

最後はおみやげショップに立ち寄りました!ジブリやゴジラのグッズもあり、なんだか嬉しくなりました。私の大好きな映画『Past Lives』(2023)などを手がけたA24のグッズたちも置いており、最初から最後まで大充実でした。

今回は全体をざっと見る感じで2時間半くらいかかったので、じっくり見る場合はもう少し時間がかかると見込んでスケジュール組むのが良いのかなと思います。

写真左:『Everything Everywhere All at Once』で助演男優賞を受賞したキー・ホイ・クァンによる寄贈のオスカー像

やはり映画は私に活力を与えてくれると実感した幸せな時間でした!随時色んな展示や上映が開催されていくので、ぜひまた来たいと思います!

アカデミーミュージアム

2021年オープン。アカデミー賞を主催する映画芸術科学アカデミーの貴重なコレクションをもとに、世界中の映画をさまざまな角度から伝える展示やプログラムを行っています。
建物は、ニューヨーク・タイムズ・ビルや関西国際空港旅客ターミナルビルなどを手掛けた世界的な建築家レンゾ・ピアノによって設計されています。

公式ウェブサイト

【住所】6067 Wilshire Boulevard Los Angeles, CA 90036

(5/2/2025)

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