恐怖さえ感じる「高さと水量」。圧巻のバーナル滝

Vol.32 ハーフ・ドーム(ヨセミテ国立公園)カリフォルニア州

水しぶきを大いに浴びて登りきると、バーナル滝が轟音を上げて落ち込むところを真上から見下ろせるポイントに辿り着く。見下ろす滝は高さと水量で恐怖を感じるほど。ここで軽食を取り一休み。まだまだ、先が長いので余りノンビリはしていられない。再度、歩き始めて暫く行くと、改めて橋を渡る。橋の下は、永久のごとく長い時間、川の流れに晒され、滑り台のようにスベスベとなった一枚岩。万が一落ちれば、正に滑り台状態で、そのまま止めどなく流されること間違いない。時々、滝の脇や橋の手すりに乗ってセルフィーを撮ろうとして、バランスを崩し落下する事故もあるので、ここでの悪ふざけは禁物。

 

川を渡り数キロ歩くと、今度はネバダ滝を右手に見ながらのルートとなる。足元が悪いバーナル滝付近のルートと比べると、この辺りは比較的安全に目の前の滝や、周りの景観を楽しみながら歩くことが出来る。色濃い新緑、流れ落ちる滝の白、澄んだ空の青の三色が素晴らしいコントラストを作り出す。一歩また一歩と上るたびにネバダ滝が大きくなり迫力が増すが、水しぶきは僅かで、バーナルほど気にならない。滝を眺めながら歩くこと30分程度。急勾配を登りきり、分岐点に出る。右はネバダ滝、左はハーフドーム。ネバダ滝へは帰りに立ち寄る事とし、迷わず左へ向かう。

 

狭い山道を歩く事、おそらく一キロ程度。開けた場所に出る。リトル・ヨセミテバレーと呼ばれ、キャンプサイトもある平地。ここから先の数キロは林の中のちょっと退屈なルートが続く。周りの木々は、ここ数年の干ばつで弱ったところに、幹を食い荒らす害虫バーク・ビートル(Bark Beetle)大量発生の影響で立ち枯れしているものも多い。だらだら単調な長いルートであるが、普段からランニングを日課としている家内は、疲れも見せず楽しそうに歩いている。途中、小休止を入れながら、黙々と歩くこと2時間程度。木々に囲まれたルートを抜けると一気に視界が広がる。花崗岩がたり一面に広がり、遠くの雪が残る峰々も見渡せる尾根に出る。しばし疲れを忘れさせる景観を楽しむ。ここから先にサブドーム、ハーフドームの難所が待ち受けている。

 

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Nick D (ニックディー)

コロンビア、メキシコなど中南米での十数年の生活を経て、2007年よりロサンゼルス在住。100マイルトレイルラン、アイアンマンレースなどチャレンジを見つけては野山を駈けまわる毎日。

「アウトドアを通して人生を豊かに」をモットーにブログや雑誌への寄稿を通して執筆活動中。

http://nick-d.blog.jp


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