【手記 ケース3】重ねた小さな犯罪歴〈前編〉

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ロサンゼルス在住 J.Yさん(30代男性)

出来心が起きるのは、人間誰しもあるものだと思うのです。出来心が起きて、それを行動に移さなければ何も変わりはありません。しかし、それを行動に移すことで、事は「犯罪」に変わってしまう。小さな犯罪は1回であれば軽い刑罰で終わりますが、いくら小さな罪でも2回、3回と回数が増えることで償わなければならない罪は大きくなっていく。当たり前のことですが、僕はそれを身をもって感じるのです。そんな自分は1年前にある出来心で一つの犯罪を起こしたのです。

 

約1年前のある忙しいウイークエンドでした。付き合い始めたばかりのガールフレンドが友達とテーマパークに遊びに行くというので、僕のことも誘ってくれました。忙しいけれど彼女と過ごせるのならと、少し遅刻をして彼女が待つテーマパークに向かい入口に到着。予測通り入口にはたくさんの来場客の列ができて30分待ち。仕方なしに並びました。その時点ですでに1時間ほどの遅刻。僕はいらいらと気持ちをあせらせながらやっとチケットブースに辿りつきクレジットカードで支払いをしようとしました。すると窓口の人が「クレジットカードの有効期限が切れていますので、現金か他のカードでお支払いをお願いします」という言うのです。現金を持ち合わせてなかった僕は料金所から追い返され、さらにすごいフラストレーションを感じました。その瞬間、僕の中にある一つの出来心が起こったのです。

 

「ゲートから入れないのなら、塀を越えて中に入ろう。誰も見ていないし大丈夫だろう」

 

僕は塀を越えてユニバーサルスタジオの中に入ることに成功。足早に彼女を探して会場内をうろうろと探し回って20分ほど経った時、2人のシェリフに僕は取り押さえられた。侵入は成功していたと思っていたが、昨今のテーマパークにはモーションディテクションが設置され、コンピューターが侵入者の体の動きを即座に察知し、セキュリティシステムが作動するようになっている。テーマパーク内に設置されている多くのセキュリティカメラと連動してすぐさま侵入者を捉えられるシステムになっているのだ。冷静さを失い、出来心でとっさに行動してしまった僕はそんなシステムのことも頭になかった。

 

テーマパーク内への侵入は軽犯罪となり、そのまま警察署に連行されることはない。だいたいは違反チケットを警察官から渡され、そのままパーク内から退出させられ、後日罰金を支払うのが一般的。僕もその日はそのまま家に帰り、後日、罰金を支払いに警察署に行ったところ、「あなたは罰金だけではなく、裁判所に出頭しなければなりません」と言われた。すぐさま僕は弁護士に相談すると、罰金だけでなく、3年間のプロベーション(保護観察)を言い渡されることを伝えられたのです。

 

僕は、テーマパークの塀を越えて侵入して逮捕されたのは初めて。しかも塀を乗り越えただけの“小さな”犯罪。しかし言い渡されたのは、3年間の保護観察。なぜなら、僕には過去に1度だけではない小さな犯罪歴があり、その歴が今回の刑を重くしたのです。

 


㊙️ザ・アメリカ生活  あの時何が起こった!?

長いアメリカ生活。生きていればあんな事やこんな事もあります。

今だから言えること、今でも言えないこと、今ここで告白します。

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