【手記 ケース4】雇用主を相手取った訴訟の罠〈後編〉

 

ロサンゼルス在住 匿名Aさん(女性)

 私は3日後にロサンゼルスから日本へ帰国します。取り返しがつかないことをしてしまい、おそらく二度とアメリカに来ることもできないでしょう。子どものころから夢だったアメリカ留学を2年もたたずに、あきらめなくてはいけない辛さはこのあと克服できないかもしれません。そんなどん底で落ち込んでいる私が何か他の人の役に立つことはないかと思い立ち、一人でも同じような目に遭う人が増えないよう、ここに匿名で投稿することにしました。

 

<前編 より>

「オーナーはすぐに違法を認めて示談金を支払ってくる」「訴訟することになったとしても、調停ですぐ和解金を支払ってくる」「弁護士費用は、成功報酬なので事前に支払う必要はない」などのその弁護士からのうまい話に乗せられて、私は雇い主を訴えることを決心。弁護士から言われるままに、何が書いてあるかもきちんと理解せずに契約書にサインしました。しかし、それから一年以上たっても示談や和解の動きも何もありませんでした。そんな中途半端な状況で今後どうなってしまうのか不安におちいった私は、ある無料のリーガルサービスに相談してみることにしました。ですが、ショックだったのは、リーガルサービスで受けた説明は、自分が思い込んでいたこととはまったく違うものだったのです。

 

大きく違ったことの一つには、私がサインした成功報酬契約書では、弁護士費用は成功報酬でも、裁判に関連する費用はすべて私が負担しなければならないことでした。裁判に関連する費用ですでに5万ドルくらいは掛かっているという説明でケタ外れの金額でした。さらにショックだったのは、私がデポジションを断って途中で訴訟をやめた場合は私が全額支払わなくてはいけないとのことでした。

 

アメリカでは、このような契約内容はごく普通なのだそうです。さらに、もし示談して和解金を受け取ったとしても私が実際にそのレストランで働いた期間が短いので、私の給料としての取り分は数千ドルしかありません。契約書に従えば逆に不足額を請求されるというのです。契約書によると、私が言われたとおりの金額を支払わない場合は、私個人に対して法的な処置をとることができる。またレストランのオーナーは従業員を長時間勤務させていても、休憩時間やオーバータイム分を支払っていれば違法にはならないし、チップを分けるのも違法ではないのです。

 

そのような説明を聞きながら、自分の無知さや浅はかさに取り返しのつかないことをしてしまったと愕然としました。私が相談したリーガルサービスの方によると、同様の苦情や相談が後を絶たないそうで訴訟に関して詳しく説明してくれました。たとえ雇い主に多少の法に反する部分があっても未払い賃金の額は少なく、示談金のほとんどは弁護士の取り分になること。訴訟になったら多数の従業員が訴訟に参加しないと、経費負担後の従業員の取り分は驚くほど少額になるのです。

 

結局、何がわかったかというと、私は弁護士のお金儲けにまんまと利用されたのです。雇い主との和解示談後に、労働条件が改善されることなど弁護士にはどうでもよいことだったのです。私が馬鹿正直に弁護士に言われるままに訴えを起こし、自分で何ひとつ理解せずに行動したことにより、自分自身をどん底に追い込んだのです。

 

デポジション証言録取)はレストランのマネージャーやその上の人も立ち合いのもとで行われました。一日では終わらず、個人的なこともたくさん聞かれ、とても辛い思いをしました。それを境に食欲もなくなり、学校へ行くことさえ嫌になってうつ状態になってしまった私は、弁護士事務所を訪れこの訴訟を途中でやめたいと告げました。すると弁護士の態度が急変。訴訟を途中でやめる場合には私が訴訟費用の全額負担をしなければならないことなどを、含みを込めるように次々と言い始めたのです。

 

私に対しての何万ドルという巨額の請求、法的に何をされるかもわからない恐怖は言葉では言い表せるものではありません。私は自分の夢も何もかもを投げ出して、追い立てられるように、帰国する決心をしました。

 


㊙️ザ・アメリカ生活  あの時何が起こった!?

長いアメリカ生活。生きていればあんな事やこんな事もあります。

今だから言えること、今でも言えないこと、今ここで告白します。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。