Vol.25 ロサンゼルスマラソン カリフォルニア州
ハリウッドを後にして、サンセット・ブルバードを下り、ビバリーヒルズ、ロデオドライブを駆け抜け、18マイル(29㎞)付近。センチュリーシティーで例年楽しみにしているのが、ジュニアハイスクールのチーアーリーダー達。以前、私の娘がハイスクールでチアーリーダーをしていたこともあって、いつも、とても微笑ましい気分でこのエリアを走る。
マイルを重ねて行くうちに、スタート地点では薄曇りだった空から太陽が見えてきた。気温が上がりはじめ、周囲のランナー達はかなり辛そうだ。21マイル(33㎞)辺り。高架のフリーウェイをくぐる100メートルほどの日陰では、ストレッチをしながら、小休止している数人のランナーの姿が見える。ここまで、人の波をかき分けて体力は使ったものの、ペース的には比較的スロー。という事で、これからが本番。カフェインの効いたジェルを摂り、ラストスパートの準備をする。その前に・・・例年、ここから数ブロック先で振舞われるチョイ飲みビールは、何とも嬉しいギフトである。
青い海まで真っすぐ伸びた一本道、サンビセンテ・ブルバードは、多くのランナー達のお気に入りのセクションだ。22マイル(35㎞)から25マイル(40㎞)間の約5㎞に渡って、道幅の狭い緩やかな下りが続く。疲労が極限に達しているランナーにとって、緩い下りと、間近から掛けられる声援は天からの贈り物のように心に響く。
疲労困憊したランナーたちを横目に、カフェインに次いで、冷えたビールを喉に流し込みゴキゲンな私は、快調にここでも抜きまくる。緩い下りを駈け下りると、太平洋が眼下に見えてくる。最後の一マイルは、青空を背景にパームツリーが茂る、オーシャン・ブルバード。ゴールは間近だ。この時、晴れた空から降り注ぐ太陽に希望を見出したのは、私だけだろうか?海から吹く風を頬に受け、かつて経験したことがないほど、すがすがしい高揚感に包まれてゴール。サンタモニカの空は、どこまでも青く、完走したランナー達を称える様に輝きを放っていた。
2021年の大会は、現在のところ、11月7日への延期が決まっている。ワクチン接種者が増え、感染者も減って来た。一日も早く、ビフォーコロナのように世界中でさまざまな大会が開催されることを心から望んでやまない。
地球を走る
アウトドア・アドベンチャーのすすめ
Nick D (ニックディー)
コロンビア、メキシコなど中南米での十数年の生活を経て、2007年よりロサンゼルス在住。100マイルトレイルラン、アイアンマンレースなどチャレンジを見つけては野山を駈けまわる毎日。
「アウトドアを通して人生を豊かに」をモットーにブログや雑誌への寄稿を通して執筆活動中。