山あり、谷あり、川あり。夫婦で楽しむ「ザイオン・アドベンチャースタイル デュアスロン」

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Vol.20 ▶︎バイクでのスタート「ツアー・ド・ザイオン」

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渓谷を渡る強い風が、バージンリバー沿いに生い茂る木々を揺らしている。露出した肌に当たる風は、暖流と寒流が入り混じった海水の様に、時に冷たく、時に生温い。バイクのペダルを漕ぎ始めて数分経つが、汗はかいていない。昇り始めた朝陽が、ザイオン渓谷を見下ろす峰々の上部を赤く照らしている。谷底に陽が届くのはまだ少し先になるだろう。 昨日の午後、ビジターセンターに到着した後、時計を一時間前に進めた。

カリフォルニア州からネバダ州を挟んで東に位置するユタ州。その南西の角に佇むザイオン国立公園。10月初旬、日の出の時刻は午前7時半とかなり遅い。冬時間への移行は11月1日。この先、夜明けは更に遅くなる。 日の出時刻に合わせて、7時半にビジターセンターを発ち、最初の目的地であるThe Grotto (グロットー)バスストップへと向かった。

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前方を走る家内。その先に見える尖った峰が目指すエンジェルズ・ランディング

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数メートル先には、心持ちサイズの合っていないバイクを漕ぐ家内。レッドロックに囲まれた絶景を堪能し、ご機嫌な様子が後ろ姿を通して伝わってくる。ザイオンには、これまで四季を通して幾度となく来ているが、圧倒的な存在感を放ち渓谷の両岸にそそり立つ巨岩群は見飽きる事が無い。 周囲は明るさを増し、気温もが上がり始めている。断崖絶壁で知られるエンジェルズ・ランディングへ一度登ってみたい、という家内の希望を叶えるため、まだ陽が当たらないトレイルを、のんびりと渓谷の奥へと向う。

ザイオンキャニオンでは、例年3月から11月まで、一般車両の通行は制限されており、園内ではシャトルバス利用が義務付けられている。渋滞と環境汚染を緩和するために2000年から導入された。 新型コロナの感染が拡大した時には、他の多くの国立公園同様にザイオンも一旦閉鎖を余儀なくされたが、その後シャトル予約制を導入して再開された。

今では予約の必要もなくなった。一方、我ら夫婦はと言うと、今回はバイクによる「ツアー・ド・ザイオン」を計画した。しかし、暫く使っていない家内のママチャリは老朽化が進んでおり、いつ壊れるかわからない。苦肉の策で、長男がかつて使っていたマウンテンバイクを持ってきた。後ろから見ても小さめで、サイズが合っていないのが分かるが、家内は全く気に留めていない。

さて、そのツアー・ド・ザイオンの行程はと言うと、まずはバイクで10㎞ほど、次いでエンジェルズ・ランディング登頂、再度バイクでシーニック・ドライブの終点まで。そしてナローズ川歩きをし、バイクで戻って来る。合計走行距離はバイク26㎞、そしてハイクが14㎞というところだろうか。山あり、谷あり、川ありの、アドベンチャーレースのような、なんちゃってデュアスロンだ。

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デュアスロンとはあまり馴染みのない言葉であるが、スイム・バイク・ランの合計タイムを競うトライアスロンのスイムが、ランに取って代わったもの。つまり、ラン・バイク・ランの合計タイムを競う競技だ。しかし今回はレースではない。ランニングを日課にしており、フルマラソンを2回完走している家内ではあるが、無理は禁物。始終のんびりと二人で景色を楽しみ、無事にゴール地点である宿に辿り着くのが最優先だ。 ※本文はパンデミック規制下での出来事が含まれ、現在は状況が異なる場合があります。

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(7/13/2022)


 

Nick D (ニックディー)

コロンビア、メキシコなど中南米での十数年の生活を経て、2007年よりロサンゼルス在住。100マイルトレイルラン、アイアンマンレースなどチャレンジを見つけては野山を駈け回る毎日。「アウトドアを通して人生を豊かに」をモットーにブログや雑誌への寄稿を通して執筆活動中。

http://nick-d.blog.jp

 


 

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