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樋口ちづ子
Chizuko Higuchi
不動産エージェント/エッセイスト
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「リアルエステート(不動産)の業界は、新人は1年で75%の人が辞めていくのが現実です。一生に数度もない家を買うということにお客様と共に向き合うこの仕事は、守秘義務があり、孤独で非常に重たい仕事ですが、その分私はやりがいを感じています」不動産エージェントとエッセイストという二足の草鞋を履く樋口ちづ子さん。羅府新報やビジネス情報誌『US.FrontLine』で精力的にエッセイを執筆する彼女の名前を見たことがある人もいるだろう。彼女の半生に迫る。
1949年山口県萩市出身。両親と姉の4人家族。この地は身分に関わらず誰にでも学問を教えた吉田松陰の松下村塾で有名だが、樋口さんによると「女性は良妻賢母の教えが強く女が学問をするとロクなことにならない」という風潮も根強くあったそうだ。ゆえに、いつかは外国に行きたいと願う少女だった。
出会いというものは、そこかしこに落ちているものだ。全額授業料免除で通った地元のカソリック私立高校で出会ったスペイン人の英語の先生と、米国留学から帰国したての日本人の英語の先生の存在は彼女の目を外に見開かせた。「広く世界に目が向くきっかけになりました」
県外や、せいぜい大阪方面まで行くのがやっとの時代に、樋口さんは東京の大学へ進学。両親は愛娘を遠くにやることに反対はしなかったのかと問うと意外な答えが返ってきた。「全くなかったです。なぜなら両親に負担をかけず全て自分で賄うのが条件だったから」というその言葉通り、学費は政府の特別奨学金で賄い、生活費一切は自ら賄った。週に1回銭湯で髪を洗うことはできたものの乾かすことができず、冬は毎度風邪をひく羽目になったという。学業とアルバイトに明け暮れ、中学・高校の教員免許を取得した4年間を送った。
米国に行く職を得て、1976年に渡米。仕事で全米各地をまわり、気候も人種も文化も全てガラリと変わる米国を実感し、魅了された。ラスベガスで出会った男性と結婚し、家を購入。その後も貸家を買い続け、娘が生まれた後も夫婦でフルタイムの仕事を持ち、貸家の面倒も見続けた。その10年間で家を手入れする技術を学んだ。その後パームスプリングス、オレンジカウンティと移り住んだ。娘の学校送迎の手が離れたあと「フルタイムでさて何が出来るか」と考えた時、資格を取って不動産エージェントとしてのキャリアをスタートさせた。サブプライムローン、リーマンショック、9・11、パンデミックと山あり谷ありの市場を生き抜いて、今に至る。途中、この人生から得たものを社会に還元したいとエッセイを書き始めた。「読まれた方が何か得るところがあるもの、心が暖かくなるものを目指して書いています。私にとって2つとも天職です」


(10/10/2025)
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