1300年続く「神さまのお引っ越し」 |べっぴん塾

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第九十八回
1300年続く「神さまのお引っ越し」


伊勢神宮の式年遷宮と受け継がれる日本の伝統

皆さまは「神さまのお引っ越し」をご存知でしょうか。この度は、日本で最も長く続く「神さまのお引っ越し」についてお話ししたいと思います。

昨年より、日本人の総氏神、伊勢神宮(正式名称は「神宮」)では、「式年遷宮」の準備が始まっています。「式年」とは定められた年限のこと、「遷宮」とは宮(神様のお住まい)を遷すこと。1300年にわたり、定期的(第43回からは基本20年毎)に繰り返されてきた神宮の式年遷宮は、古くからの習わしのまま、永遠に変わらないお祭りがおこなわれています。

引っ越しの理由は「常若」のため。常に若返ることによって永遠が保たれるという思想が日本にはあり、そちらに基づき、社殿、御装束・神宝、鳥居や宇治橋に至るまで、すべてを元のままに新しく造り替えます。この時造り替えられる御装束・神宝は、その種類714種、1576点にものぼります。どれほど堅い石もいつかは形を変えますが、造り替え続ければ永遠に同じ形を保つことができます。20年以内の造り替えの繰り返しによって、有形の物も、そして無形の伝統の技や日本の精神文化・しきたりも創建当初のままに保つことができます。式年遷宮を行うことで、神宮は最も古く、最も新しく生き続けているのです。

このお祭りは、第40代天武天皇のご宿願により始まり、次の第41代持統天皇4年(690年)に第1回が斎行されました。一時の中断はあったものの、2013年で62回目を数え、第63回は2033年にとりおこなわれます。その準備は8年余りかけておこなわれ、必要な木材に関わる「御神木のお祭り」が約3年続いたあと、社殿を造営する「社殿建築のお祭り」が始まります。東西の敷地に新旧の社殿が立ち並ぶのは、式年遷宮でしか目にすることができない貴重な光景です。
宮域の神宮林では植樹がされ、200年後には遷宮で使用する御用材を自給できるように計画されています。

遷宮によって生まれる古材は、全国の神社に譲り渡したり、移築したりして更に活用されます。例えば、内宮と外宮の御正殿の棟持柱は、宇治橋の鳥居として再利用されます。その勤めを20年果たすと、次は鈴鹿峠のふもとの「関の追分」や桑名の「七里の渡し」の鳥居となります。式年遷宮は木を伐り、木を植える森の再生のお祭りでもあるのです。

(10/30/2026)


筆者・森 日和

禮のこと教室 主宰 礼法講師
京都女子大学短期大学部卒業後、旅行会社他にてCEO秘書を務めながら、小笠原流礼法宗家本部関西支部に入門。小笠原総領家三十二世直門 源慎斎山本菱知氏に師事し、師範を取得する。2009年より秘書経験をいかし、マナー講師として活動を開始する。
2022年より、廃棄処分から着物を救う為、着物をアップサイクルし、サーキュラーエコノミー事業(資源活用)・外国への和文化発信にも取り組む。
https://www.iyanokoto.com

 

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