
VOL.12
家具に合わせて建築された
カリフォルニアをイメージした家

ハワイやアメリカを中心にしたヴィンテージ家具を独身の頃から買い集めてきたというオーナーが、夢に描いてきた新居。家の設計段階から使用する家具の配置までしっかりとプランが練られたこの家は、内装工事の前に一度家具をすべて仮置きするという綿密な現場確認を経て完成された。建築にあたって設定したテーマは 1950〜60年代のカリフォルニアに住む、ハワイ好きなアメリカ人の家。外観はカリフォルニア州コンプトンに実際に建っている家をモチーフにするなど、徹底的にリアリズムにこだわったオーナーの想いを実現させたものだ。

OWNER TATSUUMI & NARUMI OHNO
BUILD 2021/LAYOUT 3LDK
オーナーの大野竜海さんは、奥様の奈瑠美さんと、ダンくん、リズちゃんというふたりの子どもを交えた4人家族。100坪という広々とした敷地に待望のアメリカンスタイルの住まいを完成させた。
クルマ好きが愛車を格納するためにガレージを手にいれるのと同様、ヴィンテージ家具を収集してきた大野さんにとって、大切なコレクションを収集するために家は必要不可欠な存在だった。
20世紀中頃のアメリカ製が大半だという家具は、どれも独身時代から買い集めてきたもの。結婚してからは夫婦で収集を重ねてきた結果、賃貸マンションでの収納には限界も見えてきた。子どもも成長してきたことから家を新築することを決意するが、そこからのこだわりがまた凄い。
家のテーマは1950〜60年頃のカリフォルニア。ハワイが好きなオーナーが住んでいるという設定で、家の形は古い町並みが残るロサンゼルスのコンプトンに実際に建っている家を参考にしたという。
「グーグルマップのストリートビュー機能を使って、カリフォルア中の家を片っ端から見ていきました。その中でようやく気にいった家の形を見つけたんです」と語るのは、家主の竜海さんだ。

施工を依頼した「サニースポット」に相談すると、イメージを具体的な設計プランに 落とし込んでくれた。「長い廊下が欲しい」「全部の部屋を独立させたい」「子ども部屋はポップなカラーで」といった要望を投げかけると、すべて対応してくれたという。
このようなディーテールへのこだわりは、映画の影響も大きかったという。
「マスクやシザーハンズを見て、アメリカの住宅に興味を持ったんです」と、アメリカン スタイルの家に興味を持ち始めたきっかけを教えてくれた。
もっとも、実際の建築にあたってはこうしたオーナーのこだわりに加え、家の完成前 からすでに使用する家具をすべて所有していたことから細かな調整が必要になったと いう。
「内装工事の最中に、使用する家具を実際に配置して、サイズ感や電源コンセントの位置などをすべて確認しました。完成前の家に家具を持ち込んで確認したのは初めての経験でした」と話すのは建築を担ったサニースポットの代表・城さんだ。
家を買ってから必要な家具を揃えていくというのが一般的だが、大野さんの場合はすでに家具がすべて決まっていたためにこうした手順が必要になったそうだ。苦労の甲斐もあり、大野邸はどの部屋も家具がぴったりマッチしたアメリカンスタイルの家になっている。
家やインテリアを上手にまとめようとするならば、大野さんのように具体的な年代や 設定をテーマにしてみるのが、成功への近道なのかもしれない。


PHOTO & TEXT_Kazutoshi Akimoto 秋元一利

株式会社CLASSIXが発行する“カリフォルニア生活”を提案するマガジン。
カリフォルニア好きのバイブルとなっている!
Website: www.calog.net
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