佐世保の海岸沿いに建った ユニークなアメリカンハウス|CalマガジンHOME&INTERIOR- VOL.14

VOL.14
佐世保の海岸沿いに建った
ユニークなアメリカンハウス

玄関を開けると正面には巨大な映画のポスターのようなものが配置されている。額装されたポスターかと思うが、じつはシューズクローゼットの扉になっている。

正面から見るとまるでちょっと大きなバンズを被せたハンバーガーのような家。ヴィンテージのアメリカ車と、たっぷりとしたガレージは、差し詰めパティのようでもある。アメリカの雰囲気をそこかしこにあしらったこだわりの住まいは、長崎県佐世保市で住宅建築を手掛ける「NWO BUILDER」の最新作だ。

OWNER YOSHIMURA
BUILD 2022
LAYOUT 3LDK

佐世保市内に住まいを構えた吉村さん。新居の建築にあたっては、イメージだけを建築を担った「NWO BUILDER」に伝え、ほぼお任せで理想の家を手に入れた。

町の中心部と重ねあわせるように広がる米海軍佐世保基地。フェンスのすぐ先にあるのは、日本の中にあるアメリカだ。
 米軍基地の是非についてここで語ることはないが、少なくともアメリカン・カルチャーを好む人にとって、基地のある町は魅力にあふれている。敗戦と同時に開設された基地は、佐世保バーガーやレモンステーキなど、古くから佐世保の食文化にも影響を与えた。周辺にはアメリカ人を相手にしたバーも多く、かつては「ジャズの街」と呼ばれるほど、佐世保はアメリカの文化を寛容に受け入れてきたのである。

 そんな佐世保を拠点に、住宅のリフォームなどを請け負ってきた「NWO BUILDER」は、アメリカンスタイルの住宅設計・施工を得意としている。代表の稲垣さんは、もともと古いアメリカ車が好きで、若い頃からアメリカのカルチャーにも慣れ親しんできたそうだ。4年前に独立起業した際に、「どうせなら大好きな世界をモチーフにしたい」と考え、住宅設計のテーマをアメリカンスタイルに絞ったという。

 目の前に佐世保湾が広がるオーシャンビューの一等地。85坪という広々とした敷地に2021年末に竣工したばかりの家は、そんな同社の誇る建築実例。趣味や嗜好を同じくするという施主・吉村さんの新居である。
 在来工法を用いて建築された家はガレージ付きの2LDK。1階はガレージと水回りが中心で生活拠点は2階に集約。広々としたLDKからはいつでも海が一望できるという素晴らしい環境にも恵まれている。

 外から見ると立方体をふたつ重ね合わせたかのように見える家は、沖縄の花ブロックを用いたり、上下分割して開け閉めのできるダッチドアを採用したり、ディテールも見どころが多い。アプローチに敷設されたコンクリートに星の形をした抜き型をあしらうなど、細やかな部分にも、こだわりを感じさせられる。

 こうした細かな施策の大半は「NWO BUILDER」側から提案したものだというが、唯一施主からの要望を実現させたのがビルトインガレージだ。

 フルサイズのアメリカ車を余裕で格納できるゆったりとしたガレージは、壁面の一部をモルタル造形で仕上げ、天井からはモ ニターを吊り下げるなど、アメリカン・カルチャーを意識した仕掛けがたっぷり施されている。大開口を実現させるのに苦労したというが、構造を工夫することで、ご覧のような空間が完成した。
 そこかしこにアメリカを感じさせる吉村邸は、地元佐世保で幼い頃からアメリカの文化に囲まれて育った家主にとって、まさに理想の住まいとなった。

PHOTO & TEXT_Kazutoshi Akimoto  秋元一利

株式会社CLASSIXが発行する“カリフォルニア生活”を提案するマガジン。
カリフォルニア好きのバイブルとなっている!

Website: www.calog.net
Instagram: cal_magazine

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。