VOL.4
“TIMBER(木材)”と名付けられた
1980年代のアメリカをテーマにした木の家
天然木のやさしい風合いに包まれた木の家は、カフェをモチーフにした造作壁面やリビングとひと繋がりになったウッドデッキなど、見た目だけでなく、使い勝手や居心地の良さにも配慮された家でもある。アメリカの住まいを具現化した山口邸には、施主の奥様が幼い頃から憧れてきたというテレビドラマの中で見た、アメリカの空気感もしっかりと漂っている。
OWNER SHOTA & HARUKA
YAMAGUCHI BUILD 2021/LAYOUT 3LDK
美容師の翔太さんと、同じく元美容師だったという晴香さん、レオくん(3歳)の3人家族。設計段階から奥様が主導して完成したという夢のマイホームは、幼い頃から憧れてきたアメリカの人気テレビドラマの世界を具現化したものだった。(編集部 注:年齢は取材時)
マイホームの設計や購入は夫婦がそれぞれの理想を持ち寄って実現すべきだが、現実にはご主人が主導的に進めることが多いようだ。ところが、山口邸は建築会社の選定から内・外装まで、奥様の晴香さんがリードしながら2021年6月に竣工を迎えたという。
もともとアメリカのテレビドラマが好きだったという晴香さん。幼い頃からアメリカ のテレビドラマリーズ「フルハウス」や「グリー」などを見る機会が多かったことから、いつしかアメリカンカルチャーの虜になっていた。結婚し、子どもができてからも、「ドラマで見てきたようなスタイルの家に住みたい」と漠然と思い続けていたそうだが、具体的なプランはまとまっていなかったという。
ところが、出会いは突然やってきた。買い物の帰りにたまたま通った道に、まるでアメリカのテレビドラマに出てきたような素敵な住宅を見つけてしまったのだ。それは福岡県を拠点とする「サニースポット」が建築した家だった。
そこからはトントン拍子。設計・施工を担当する「サニースポット」の城さんへ、幼い頃から夢にみてきたドラマの話をすると、1980〜1990年代のアメリカ(サンフランシスコ)をテーマにした家の基本プランが出来上がった。
当初は平屋も検討したが、敷地の大きさを考慮して2階建てへと変更。外観は晴香さんの希望を取り込んで、1階を淡いグリーンのラップサイディングに、2階は真っ白にして縦方向にアクセントを加えてもらった。
エントランスは軒を延長したカバードポーチにしたことで、フルサイズのアメリカ車が余裕で停められるスペースも確保。雨の日でも濡れることなくクルマから乗り降りできる使い勝手のいい工夫も加えられた。
建築にあたっては使用する建材にもこだわり、内外装にはすべて天然木を使用。フローリングには素足が気持ちいいオークの無垢材をチョイス。外壁のラップサイディングも出隅に金具・金物を使うことが多いが、山口邸ではサイディングの端まで木を使うなど、ディテールにも徹底してこだわっている。
見た目はもちろんだが、「居心地の良さ」と「暮らしやすさ」にもこだわった山口邸はこうして完成したが、じつは竣工後に遊びにきた晴香さんの友人が、あまりの出来栄えに感動。なんとたまたま空いていた隣地を購入し、山口邸と同じ「サニースポット」で家を建築してしまった。友人が隣人になってしまったという逸話からも、山口邸の完成度の高さが窺える話である。
(1/8/2025)
PHOTO & TEXT_Kazutoshi Akimoto 秋元一利
株式会社CLASSIXが発行する“カリフォルニア生活”を提案するマガジン。
カリフォルニア好きのバイブルとなっている!
Website: www.calog.net
Instagram: cal_magazine