趣味や仕事に没頭する大人の隠れ家 八ヶ岳の山麓に建つ天空のアトリエ|CalマガジンHOME&INTERIOR- VOL.13

VOL.13
趣味や仕事に没頭する大人の隠れ家
八ヶ岳の山麓に建つ天空のアトリエ

標高1523mという八ヶ岳の山麓に位置する友枝さんのアトリエ。傾斜地である土地は217坪。外壁にはサイディングとガルバリウム鋼板を使用する。南側の全面から太陽の日差しを受け止める明るく、暖かい家である。

生活の拠点となる住まいとは異なり、趣味や仕事に集中するためのもうひとつの空間が大人の隠れ家=リトリートハウスだ。八ヶ岳の山麓で別荘のデザインやプロデュースを行う友枝さんにとって、大好きな本に囲まれたアトリエは、まさに大人の隠れ家。絶景を堪能する“天空のアトリエ”で、趣味も仕事も満喫している。

OWNER KOJIRO TOMOEDA
BUILD 2017/LAYOUT 2LDK

八ヶ岳山麓を拠点に別荘・山荘のデザインや設計、プロデュースをする「モリッシュ・カントリー」を主宰する友枝さん。標高1523mという高地に建築されたアトリエは趣味と仕事の拠点として2017年に建築されたもの。氷点下15度を下回ることもあるという寒冷地でもあるが、このアトリエは「真冬でもここはTシャツで過ごせますよ」と友枝さん。愛車はランドローバー・ディフェンダー。

八ヶ岳の裾野、なだらかな山裾に広がる高原地帯に長野県原村がある。村の中心は標高900〜1300mだが、東側は八ヶ岳の最高峰である阿弥陀岳の頂上付近までが境界線となっており、県外からの移住者たちが終の棲家を構える別荘が標高1500m付近まで点々と連なっている。
 1年を通じて降水量が少なく、真夏でもエアコンは不要。窓を開ければ爽やかな風が室内を通り抜けていく過ごしやすい気候に加え、周辺には温泉やスキー場、キャンプ場などのアクティビティも豊富。このため過疎に悩む山間の集落とは異 なり、原村は人口も安定して推移してきた。
 東京でパッケージデザインや店舗設計をしていた友枝さんが、〝日本で一番美しい村〟とも呼ばれることの多いこの原村に山荘を建てたのは37年前、29歳の時だったという。しばらくは東京との2拠点生活を続けてきたが、東日本大震災を機に本格的に移住。八ヶ岳山麓周辺エリアを拠点に住宅設計・デザインを行う「モリッシュ・カントリー」を立ち上げ、これまでに70棟以上の山荘や住宅をプロデュースしてきた。
 最初に建てた山荘は今も住まいとして使用しているが、自宅からさらに50mほど標高の高い場所に趣味と仕事の拠点となるアトリエも建築、天気のいい日は遠くに御嶽山まで望むという、その〝天空のアトリエ〟で一日を過ごすことも多いという。

アトリエは1階に薪ストーブを設置した大きなLDKを配置。2階は吹き抜けを挟んで東西に約12帖の部屋が2つ設けられており、片方は趣味のプラモデルなどを置いたサロン、もう一方は仕事に集中するオフィススペースとして使用されている。
 家の中央部にあたる吹き抜け部には、1〜2階にわたる大きな書棚もあり、大好きな雑誌や書籍をたっぷりと収納。時間のある時はお気に入りの本を何度も読み返して楽しむそうだ。
 崖地を上手に利用したこのアトリエは東西方向に細長くなっており、南側は全面がテラスになっている。家全体がたっぷりと日差しを受け止める形になっているため、部屋の中まで陽光が差し込んでくるのも特徴のひとつ。
 冬季はマイナス15度になることも珍しくないという原村。断熱設計をしっかりしないと、寒くて過ごせないそうだが、友枝さんのアトリエは高気密・高断熱はもちろん、日差しを積極的に取り込む設計とした上、さらに太陽光パネルを使って空気を温め、それを各部屋に循環させるなど、最新の技術も取り込んでおり、家のどこにいてもぽかぽかと暖かい。
 生活の拠点である山荘とは別に、趣味と仕事を楽しむための贅沢な空間を手に入れた友枝さん。どんなに仕事に没頭していても、ちょっと顔を上げれば窓の外には南アルプスの山々を間近に望むことができる。さぞ、仕事も捗るのではないかと尋ねてみると、「まったくの逆でここにいるとどうしてものんびりしてしまうんです。だから、忙しい時はなるべくここで仕事をしないようにしています(笑)」。

PHOTO & TEXT_Kazutoshi Akimoto  秋元一利

株式会社CLASSIXが発行する“カリフォルニア生活”を提案するマガジン。
カリフォルニア好きのバイブルとなっている!

Website: www.calog.net
Instagram: cal_magazine

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