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益本 ジャスティン 大佑
Daisuke Justin Masumoto
カリフォルニア日系アメリカ人硬式野球リーグ選手
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第二次世界大戦中に日系アメリカ人が収容された強制収容所。空っ風の吹く砂漠での暮らしを強いられた日系人の人々はそこに手作りのフィールドを作り、野球をプレーすることに情熱を燃やした。選手たちはチームを作って試合をし、子供や大人たちはゲーム観戦に沸いた。砂にまみれた過酷な収容所暮らしの中で、野球は人々がひと時でも笑顔になれる心の支えであった。
戦争が終わり、1953年には「カリフォルニア日系アメリカ人硬式野球リーグ」がカリフォルニアの中央部にあるロディ市で初めてトーナメントを行った。同リーグトーナメント開始から70周年の今年10月末には、先人リーガーたちに敬意を表して、マンザナ強制収容所史跡の敷地内にあるフィールドでオールスター戦を開催することが決まった。「フィールドの完成はもう間もなく。現在、土を直して再び野球ができるように工事が進められています。日系人野球を築いた先人の方々がプレーしていた尊い場所で戦うことは、とても感慨深いですね」と話すのは、マンザナ大会出場選手の一人、益本ジャスティン 大佑さんだ。
北リーグ6チーム、南リーグ6チームの合計12チームで組織されるカリフォルニア日系アメリカ人硬式野球リーグの中で、益本さんは南のチーム「LA PIRATES」に所属して20年目、キャプテンを務める。「アマチュアといえども日系人リーグには、MLB傘下のトリプルAやマイナーリーグにいた選手もいるなど強豪が集まっています。140~150キロ出すピッチャーもいるほど。決勝戦ともなるとかなりハイレベルな戦いになります」。レギュラーシーズンは6月から9月まで。決勝戦は9月初めのレイバーデイに行われており、今年はベスト4チームがロサンゼルスで戦いの火花を散らす。
周りの友達や野球仲間からは名前の頭文字を取って「DJ」と呼ばれている益本さん。日本から移住した両親のもとロサンゼルスで生まれ育った。5歳から父親に野球を叩きこまれ、ジュニアカレッジまで選手として活躍。2006年には愛媛の独立リーグ、四国アイランドリーグで1年間プレーした。アメリカに帰国後は、ロサンゼルス・ドジャースのアジア部やシカゴ・ホワイトソックスで日本人選手の通訳にも従事した。
身体が動く限りプレーし続けたいと思う一方で、リーグが直面している状況にも目を留める。どの世界でも世代交代は常であるが、若い選手の育成やチームの人員集めが大きな課題だ。「過去には選手が集まらなくて存続できなくなったチームもあります。でも、僕たちは先輩方から野球の楽しさや、力と心をひとつにしてプレーする仲間を持つことの素晴らしさなど多くのことを教えていただきました。野球を通して受け継がれたものを僕たちも次の世代に伝えていきたい」。
(8/28/2024)
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