【ロサンゼルスで暮らす人々】父の遺言を胸に 挑戦と失敗を糧に前に進むこと

LA暮らし

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福富 徹
Toru Fukutomi


ボディビルダー

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■ボディビルダーの福富徹さん。ロサンゼルス大会で3位入賞

「パンデミック下の2020年に父を亡くし、一時帰国も叶わず落ち込んでいた時、父が言っていた言葉をふと思い出しました。〝トレーニングをやっているなら大会に出てみろ〟というものです。そこからトレーニングと食事改善で、体重を80kgから58・5kgまで減らしました」福富徹さんは世界を駆け巡るボディビルダー。10月31日、El Segundo Performing Arts Centerで行われたナチュラルボディビルディングのLA大会において見事3位入賞、その後のラスベガス大会でも3位入賞と快進撃を続ける。彼の半生に迫った。

 1980年、母の里帰り出産により仙台で誕生。1歳の頃、父の出身であった栃木県に転居。「徹」という名は祖父が名付けた。その祖父からは「礼に始まり礼に終わる」という考え方や生活のことを沢山教わり、多大な影響を受けた。11歳のとき、昨日まで元気だった祖父が突然亡くなり、福富さんの心に影を落とした。花粉アレルギーやひどいアトピーをもっていたせいで皮膚が弱く「皆と一緒に行動するのが苦手だった」と幼少期を振り返った。

 大学在学中のアルバイトをきっかけに「自分もやってみよう」と貿易関係の仕事で起業。19歳で初めて中国に買い付けに行き、当時流行していたハロウィンのオーナメントやアメリカ文化の雑貨を仕入れた。会社は成長を続けたが、2001年に中国で反日運動が激化し、これ以上中国を拠点にビジネスを続けるのは厳しいと判断し、今度はベトナムに支社をつくった。しかし2011年の東日本大震災をきっかけにビジネスが回らなくなり、31歳の時、香港のおもちゃ会社に「初めて」就職した。人にも仕事内容にも恵まれ、会社員人生は順風満帆だったが、コロナ禍に父を亡くし、価値観が一変した。ボディメイクに集中し、「やらなければ一生後悔する」と覚悟を決め、運動、食生活、日常のルーティン化を徹底的に改善し、ボディビルダーの体をつくっていった。自分の体が変わっていくのは喜びだった。

 2022年アジア大会3位、2023年ベトナム大会1位、2024年オセアニア大会2位、2025年ヨーロッパ大会1位、そして今年10月のLA大会と11月ラスベガス大会でそれぞれ3位に入賞し、自分の目標を次々に叶えていった。「私は大会を通して、誰でも努力と行動力があれば目標を達成できると確信しました。成功の反対は失敗ではなく、何もしないことだと身をもって理解したからです。仕事や私生活を含めて多くの挑戦と失敗を重ね、それを糧に前に進むこと。これが人生の成功に近づく方法だと信じています」

■ロサンゼルス大会 World Cup 会場の様子
■インターナショナルパーソナルトレーナーの受賞式

(11/20/2025)

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