レトロ遊園地が大人気!

 先日読売新聞を読んでいたら、埼玉県所沢市のテーマパーク「西武園ゆうえんち」が大変な盛り上がりを見せているという記事が載っていた。100億円をかけて2021年5月に改装オープンしたパークは1960年代の商店街が再現され、大人気になっているのだ。

 東京ディズニーランド開園以来、日本中の遊園地が少なからず打撃を受けている。まして同じ東京圏内にある「西武園ゆうえんち」はまともに被害を受けたのだ。ピーク時の1988年には104万人の観客動員数だったが、2018年には49万人に落ち込んだ。正直なところ大した目玉企画が無かった同園は、このままでは存続の危機と…起死回生として「ユニバーサルスタジオジャパン」の再建を手がけた森岡毅氏のマーケティング会社「刀」と組み、コンセプトを「レトロ」に決めてイメージチェンジに動いたのだ。この作戦が大成功!全国から家族連れが来園してくれることに。更には若い女性客も訪れるようになった。

 1960年代にタイムスリップしてみよう!園内に足を踏み入れたすぐの処に昔懐かしい本物の都電が停車している。それだけでも私のように中学、高校時代学校まで都電通学していた人間には涙もん!思わず都電に触ってしまった。足を進めると懐かしい下町の商店街。映画「オールウェイズ3丁目の夕日」に出てきそうな町並の「夕日の丘商店街」が嬉しい。昔母と一緒に歩いた月島つくだ仲見世商店街や門前仲町商店街を思い出して胸が熱くなった。そう言えば母にピストルのオモチャをおねだりしたっけ。数十店舗あるお店も昭和30年代そのまま。コロッケを揚げるいい匂いがしている。流れてくる音楽も昭和の無責任男、植木等の「スーダラ節」。植木さん好きの私にとっては嬉し過ぎる!店員さんもあの当時の洋服スタイルで雰囲気を盛り上げている。商店街の突き当たりには銭湯「朝日湯」がある。子供の頃銭湯帰りに親父と牛乳を飲んだ思い出が鮮明に蘇る。

 

 

 そうなんです、埼玉県所沢に居るにも関わらず、私の気持ちは生まれ育った昭和30年代の築地にいるのです!まさにタイムマシンで来たみたい。あの時代に生きた世代ばかりではなく、若い女性客も「新鮮で新しい」と大満足で帰ってゆく。リピーターの数が多いのも分かる。

 レトロ遊園地といえば、映画「バック・トゥー・ザ・フューチャー」で1960年代にタイムスリップするシーンを見た時、あの時代のアメリカに行ってみたいと思ったものだが、1960年代は人々が純粋な気持ちを持てた貴重な時代だったのかもしれない。

 2023年素敵な年にしたいね!

 

■テリー伊藤
演出家。1949年、東京都出身。数々のヒット番組やCMなどを手掛け、現在はテレビやラジオの出演、執筆業などマルチに活躍中。

 

 

 

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