意図的なアスリート虐待?「Toughestは本当にタフだった」の巻

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Vol.27 ▶︎こんなにキツイなんて・・「聞いてないよ~」

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永遠に続くかと思われた急勾配を上りきると“風邪気味”の友人が、唯一ある水補給テントの横で寛いでいるのが見える。「みな辛そうだな~、俺は下らないでよかったよ」と、まるで他人事だ。 難所を何とか乗り切り、ここから先はスキースロープのアップダウンでまた一苦労と思いきや、果てしない下り上りを経験した後だけに、意外にも上りはたいした勾配ではないことに気づく。とは言うものの、既に脚はヘロヘロ。横には、苦楽を共にするはずだった友人。特に疲れた様子はない。

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悪夢のような練習ライドを耐え抜いて2週間後のレースに臨むわけであるが、結果は、ご想像の通りだ。デビュー戦と同様に、格好いいトライアスリートからは程遠いい姿。湖での1500mのスイムは、新しい曇り止めの効いたゴーグルを使い、3箇所あるターンではブイにつかまって息を整えながら何とか凌いだ。次いでのバイクコースでは、例の坂道が更に延長されており「聞いてないよ」状態。最後のランは炎天下。これまた聞いていない、カラカラに乾燥した砂埃が舞うトレイルで煙幕の中を走っているような感じだった。両脚はしびれ、太ももは攣る寸前。更にゴール前の数百メートルは迷路のよう。漸くゴールと思いきや、また離れていく。意図的なアスリート虐待としか思えない。ボロボロになりながらも何とか無事ゴールに到着。2度目のトライアスロン完走を果たした。 デビュー戦は海でのスイムで一苦労、今回はバイクで事のほか大変な思いをしたが、アメリカで一番タフと謳われたレース(かなり大袈裟)を完走し、漸くトライアスリートの仲間入りをした気分で感慨深い。次なるレースに向かって準備を始めるも、思わぬアクシデントに見舞われることになる・・・。

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殆ど人がいない寂しいゴール。皆もう帰ってしまったのか?

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ワンポイント・アドバイス

1.ブリック・トレーニング 何事もそれほど簡単にはいかないもの。スイムは大変だし、バイクも楽ではない。疲れた足で走るのは、さらに辛い。トライアスロンのレースに出場するためには、3つの競技の練習に時間を費やし、それぞれで一定レベルに達する必要がある。更に、普段からスイムの直後にバイク、あるいはバイクの直後にランと、レースに近いトレーニングを取り入れるのが効果的と言われている。ブリック・トレーニングと呼ばれる複合トレーニングであるが、特にバイクからランへと続くトレーニングは重要だ。私はトライアスロンのクラブにも属さず、一人で黙々とトレーニングしていたため、ブリックなるものは知るすべも無く、今日はスイム、明日はラン、週末はバイクといった、個別のトレーニングをかなり長い間続けていた。週末のバイクを30分程度、早く切り上げて、その後5km走るだけでも効果があるようなので、ぜひ取り入れてみてほしい。

2.トランジッションの練習 更にもう一つ、妙な練習ではあるが、スイムからバイク、バイクからランへのトランジッションの練習も、タイムを縮めるためには効果的だ。特に、ウェットスーツを素早く脱ぐには慣れが必要。袖口にバセリンを塗って滑りやすくしたり、繰り返し練習するうちに段々とコツが掴めてくる。スイム後の足についた砂も気になる。ペットボトルの水では事足りず、洗面器を用意しているアスリートもいる。トラジッションで、もたもたして時間をロスするのはもったいないので、何度もシュミレーションをして自分なりのコツをつかもう。

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(8/31/2022)


 

Nick D (ニックディー)

コロンビア、メキシコなど中南米での十数年の生活を経て、2007年よりロサンゼルス在住。100マイルトレイルラン、アイアンマンレースなどチャレンジを見つけては野山を駈け回る毎日。「アウトドアを通して人生を豊かに」をモットーにブログや雑誌への寄稿を通して執筆活動中。

http://nick-d.blog.jp

 


 

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