現実的な問題の”議論のきっかけ”生む
映画本来の意義を持つ作品
JAPAN FILM FESTVAL LOS ANGELES 2020が10月1日~4日までオンラインにて開催される。今回の注目映画『COMPLY+-ANCE コンプライアンス』の企画・原案・脚本・撮影・写真・声・総監督を務めた齊藤 工さんがインタビューに登場。
JAPAN FILM FESTVAL LOS ANGELES 2020
10月1日から4日オンラインにて上映
上映詳細チケット購入: www.JFFLA.org
写真:本作の企画・原案・脚本・撮影・写真・声・総監督を務めた齊藤 工さん。
Q. 10月に開催されるLA日本映画祭2020で、斎藤工総監督の映画『COMPLY+-ANCE コンプライアンス』の上映が決まりました。LAにはどのような印象を持っていますか?
A. まずは選定頂きありがとうございます。海外にて日本の特殊なコンプライアンスを感じて頂く事は本作に込めた願いでした。5年前アカデミー賞のレポートでLAに行きましたが、世界中の映画の中心部と言う感じを受けました。
Q. 最近は、多くの日本人俳優さんがハリウッドでも出演されるようになってきました。同じように日本人監督も活躍を期待されています。日本映画が世界で上映されることには、どのような思いがありますか?
A.邦画作品それぞれによりますが、全体的に圧倒的な力の差を感じます。かつての日本映画黄金期から60年程経ちますが、当時や海外作品に比べると今の邦画は観客に対して余りにも分かりやすい作品が主体になっている事を痛感します。
Q. 『COMPLY+-ANCE コンプライアンス』を斎藤工監督があえて日本だけでなく、米国で上映をされることを決めた理由は?
A.本作の起源のひとつに去年日本で公開されたミキ・デザキ監督の『主戦場』と言うドキュメンタリー映画があります。日本の慰安婦問題や政治的歪みを海外からの視点で描かれた作品です。その中で、日本の報道の自由度ランキングが当時世界72位と知りました。驚きました。何故なら我々にはそこまで自由度が低い体感が無いのです。正解には”自由な社会”風なモノに目眩しを喰らっているのです。そこから様々な日本の法令遵守や自主規制、放送コード、企業コンプライアンスを調べ本作が生まれました。調べれば調べる程奇妙で曖昧な線引きに溢れていて、その滑稽な規制こそ、現代の日本のひとつの縮図であり、その輪郭を海外の方々に観て頂きたく思っています。なので、今回の上映はとても感慨深いです。
Q. 自主規制に一石を投じている『COMPLY+-ANCE コンプライアンス』。米国の観客には、この作品のどんな部分に注目して見てもらいたいですか?
A.本作は日本でも当然の如く賛否両論ありました。ですがそれは、進行形の現実的な問題の”議論のきっかけ”を生む映画本来の意義だとも思っています。そして本作はコロナ禍により上映自粛になったためオンラインを駆使し、内容がその都度トランスフォームする不思議な作品になりました。本作を通じてLAの皆さん、アメリカの皆さんと繋がることができることを心から願っております。あっ、こんなに社会派気取ってましたが、本作はコメディ映画です。宜しくお願いします。
写真:© EAST FACTORY INC. 配給:SPOTTED PRODUCTIONS
令和新時代、2020 年。国際的な一大イベントの開催を目前に控える日本では、日々、忖度やコンプライアンス問題がニュースのみならず日常会話においても語られ、明確な基準もないまま”自主規制”ばかりが増していく。この現状に、一石二石、いや百万石を投じようと「日本においての表現限界」に挑戦した映画『COMPLY+-ANCE コンプライアンス』。