公的介護保険制度は海外帰国者でも 受けることができるか 〜公的介護保険制度の利用条件と注意点〜

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第6回
公的介護保険制度は海外帰国者でも
受けることができるか
〜公的介護保険制度の利用条件と注意点〜

アメリカなど海外で長く暮らした日本人が日本に帰国し、老後の生活を始める際、心配になるのが「介護が必要になったとき、日本の公的介護保険は使えるのか?」という点です。結論から言えば、一定の条件を満たせば海外帰国者でも日本の介護保険サービスを利用することができます。ここでは、具体的な利用条件と手続き、注意点についてわかりやすく解説します。

❶ 介護保険を使うための基本条件
日本の公的介護保険は、住民票が日本国内にある人を対象としています。つまり、海外から帰国した場合でも、以下の条件を満たせば利用可能です。
【主な条件】
・日本国内に住民登録(転入届)をしていること
・65歳以上であること(または、40〜64歳で特定疾病に該当する場合)
・市区町村が発行する介護保険被保険者証を所持していること

帰国後、まず住民票を登録すれば、自動的に介護保険の被保険者として登録されます。65歳以上なら、特別な申請をしなくても介護保険証が発行され、サービスを利用できる基盤が整います。

❷ サービスを受けるための手続き
実際に介護サービスを受けるには、「要介護認定」の申請が必要です。
【手続きの流れ】
1:住民登録後、市区町村の介護保険担当窓口に「要介護認定申請」を提出
2:調査員が自宅を訪問して心身の状態を調査
3:医師の意見書と合わせて審査・判定
4:「要支援1・2」「要介護1〜5」の認定を受ける
5:認定結果に応じた介護サービスを利用開始

認定までには約1ヶ月かかります。必要に応じて、地域包括支援センターやケアマネジャーに相談しながら進めると安心です。

❸ 帰国直後に注意すべきポイント
・住民登録がないと介護保険は使えない
海外に住んでいた期間は介護保険料を納めていないため、帰国して住民登録をしてからが対象になります。帰国後すぐに手続きすることが重要です。
・加入期間のブランクは問われない
介護保険の利用資格は「年齢」と「住民登録」のみが要件であり、過去の保険料納付期間は原則問われません。納付義務は帰国後から発生します。
・認定が出るまでサービスが使えない
要介護認定を受けるまでサービスが利用できないため、急を要する場合は市区町村と相談し、短期入所(ショートステイ)などの暫定利用を検討しましょう。

❹ 帰国者にとってのメリット
・医療保険と連携して医療・介護の両面サポートが受けられる
・自己負担は原則1割(所得によって2〜3割で経済的負担が軽い
・高額介護サービス費制度により、支払いの上限が設定される
・地域包括支援センターによる生活支援体制が整っている

アメリカのように高額な民間介護保険に頼らなくても、一定の公的支援を受けられるのは大きな安心材料です。

次回は、「在宅介護と施設介護、どちらを選ぶべきか?」について具体的に掘り下げていきます。

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(5/8/2025)


鍵山 学(Manabu Kagiyama)
不動産・ライフサポートのエキスパート
DOTOWN, Inc. 代表

25歳でアメリカ・サンディエゴへ渡り、現在まで26年以上にわたりアメリカでの生活を築いてきた。異国の地での経験を活かし、不動産、開発、ライフサポート事業を展開。現在は DOTOWN, Inc. の代表として、日本とアメリカの架け橋となるビジネスを手がけている。

DOTOWN(DOTOWN, INC. DRE#022113) は、日本で不動産開発や管理、介護・高齢者サービスなど幅広い事業を展開しており、「人々が安心して暮らせるコミュニティづくり」を理念に掲げる。鍵山はその経験をもとに、アメリカ在住の日本人がスムーズに日本へ帰国し、新たな生活をスタートできるよう支援するプロジェクト を進めている。 www.dotown.co.jp
■問合せ: m.kagiyama@dotown.co.jp t.saito@dotown.co.jp

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